インタビュー
» 2009年05月25日 07時00分 UPDATE

集中連載・週刊誌サミット:『アサ芸』を追い詰める極道、司法、部数減……。残された道はアレしかない (1/2)

極道、エロ、スキャンダルを売りにしている『週刊アサヒ芸能』。他の週刊誌と同様、部数減に悩まされており、この10年で半減した。“逆風”が吹き荒れる中、元編集長の佐藤憲氏はどのような巻き返しを図っているのだろうか?

[土肥義則,Business Media 誠]

 通称『アサ芸』――。正式名『週刊アサヒ芸能』の読者は、大半が男性だと言われている。雑誌名に「アサヒ」と入っているので、『週刊朝日』のように朝日新聞と関係があるのでは? と思っている人もいるかもしれないが、まったく関係はない。

 ライバル誌としては『週刊大衆』『実話時代』『週刊実話』などが挙げられ、極道、エロ、スキャンダルが売り物だ。しかし他の週刊誌と同様、『週刊アサヒ芸能』も部数が落ち込んでいる。こうした逆行の中、元編集長の佐藤憲氏はどのような戦略を練っているのだろうか?

※この記事は、5月15日に開かれた“週刊誌サミット”の内容を掲載しています。

裁判が多くて、プレッシャーに

元木昌彦(司会):出版社系で古い週刊誌といえば『週刊新潮』(1956年創刊)といわれているが、(芸能ゴシップ新聞『アサヒ芸能新聞』がルーツとなっている)『アサヒ芸能』(正式名:週刊アサヒ芸能、1956年創刊)も古い。『アサヒ芸能』といえば、極道情報に大変強い。私も昔、山口組と一和会の戦争があったとき、一和会の佐々木組長に会いに行った。もちろんその世界で権威のある雑誌といえば『アサヒ芸能』だが、私は『月刊現代』として取材に行った。すると「どこの雑誌だ?」「『アサヒ芸能』のようにならないとダメだぞ」と言われてしまった(笑)。そのとき「『アサヒ芸能』ってスゴイんだなあ」と、改めて感じたものだ。

 最近、『アサヒ芸能』の記事で面白いと思ったのは「徹底検証 ヤクザと裁判員制度!」「アサ芸でしか読めない『新制度のカラクリ』」だ。『アサヒ芸能』は“持ち味”を生かしているようだが、残念ながら『週刊大衆』に部数※で負けている。こういったことも含め、佐藤元編集長にお話をうかがいたい。

※2008年の実売部数は『週刊アサヒ芸能』が12万部、『週刊大衆』が21万部。
yd_satou.jpg 『週刊アサヒ芸能』の佐藤憲元編集長

佐藤憲:実は私は3代前の編集長だが、週刊誌の最前線にいることには間違いない。ご案内された通り、元々は『アサヒ芸能新聞』というタブロイドの新聞でスタートした。そして昭和31年(1956年)に『週刊新潮』に遅れること半年で、週刊誌となった。今年の10月で丸53年となる。ちなみに私と同じ歳。ですから「(佐藤さんは)アサ芸を作るために生まれてきた」とよく言われる(笑)。

 さきほど元木さんの言葉にもあったように、『アサヒ芸能』は極道モノに強いというイメージがあるかもしれない。あちらの世界との関係性が強かった時代もあったかもしれないが、現在はそういうことはない。(極道から)かなり厳しいプレッシャーをかけられている。

 ですので私どもの雑誌は極道からのプレッシャー、(合法か非合法かという)司法からのプレッシャーという現状がある。裁判の話について申し上げると、『週刊現代』の加藤さんには及びませんが、私も現役のころは数多く訴えられた。ただ非常に難しいのは我々は有名人のスキャンダル、とりわけ下半身のスキャンダルを中心に記事構成している。一番難しいのは公共性、公益性という……(会場内笑い)問題が大前提になる。この点の立証が非常に難しい。

 ウチの顧問弁護士から、私はいつも怒られている。「君の記事には公共性と公益性のカケラもない。これをどうやって裁判すればいいんだ」と(笑)。しかし弁護士の先生は知恵を働かせて、頑張ってくれている。残念ながら、私は(裁判で)勝ったという記憶は……1件だけ。あとは負けたか和解という形で決着している。和解といっても「仲良くしましょうね」といった感じではなく、ある程度こちらがお金を払っている。結局、和解といっても負けに等しい。

 『アサヒ芸能』のような週刊誌においても、かなり裁判が多くなっていて、それがプレッシャーになっている。私の後任の編集長は3人いるが、もし裁判が“負の遺産”として彼らを萎縮させているのであれば、私は反省しなければならない。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ

ITmedia 総力特集