コラム
» 2009年05月18日 15時51分 UPDATE

新聞は一度、バカと言われる側に回ってみてはどうだろうか? (1/2)

新聞の購読部数減少に歯止めがかからない状況だが、原因はどこにあるのだろうか。インターネットの出現や景気などにも左右されているかもしれないが、新聞は一度「バカだと思われている側」に回ってみるのもいいかもしれない。

[中村修治,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:中村修治(なかむら・しゅうじ)

有限会社ペーパーカンパニー、株式会社キナックスホールディングスの代表取締役社長。昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。


 「新聞はこれからも必要だと思う人は90%」という結果が、第61回新聞週間を前に行った全国世論調査(面接方式)でわかった。このニュースが報じられたのは、2008年の10月のことだ。確かに報道された。しかしそのニュースは読売オンラインで、現在、なかったものにされている。

 意図的なのかどうかの真意は分からないが、削除されたニュースは下記の通り。

 「読売新聞社が15〜21日の第61回新聞週間を前に行った全国世論調査(面接方式)によると、情報や知識を得るために、新聞はこれからも必要だと思う人は90%に上った。新聞の報道を信頼できるという人も85%に達し、国民の多くが新聞を重視していることが分かった。新聞について、『必要とする情報や日常生活に役立つ情報を提供している』と思う人は86%を占めた。『報道が国民の人権やプライバシーを侵さないように気を配っている』との答えは70%、『事実やいろいろな立場の意見などを公平に伝えている』は66%だった

 ニュースの背景や問題点を掘り下げて解説するという点で、大きな役割を果たしているメディアを三つまで挙げてもらったところ、『一般の新聞』は76%で最も多かった。社会の懸案や課題に対する解決策を提案するという点では63%、権力者や世の中の不正を追及するという点でも58%と、いずれも『一般の新聞』が他のメディアを上回った。調査は9月6〜7日に実施した」(2008年10月12日22時40分 読売新聞)

新聞VS. インターネットという単純な構造ではない

 この調査結果について、ネット内ではいろいろと話題になったので記憶されている方も多いのではないかと思うが、読売オンラインの中で、その記事は既に削除されている。どう見ても、手前味噌というミソを付けた感じで……。

 新聞というメディアの信頼性を高めたいというニュースだったのだろうが、この程度のニュースを流すことで、新聞というメディアへの信頼が回復すると思っているなら、国民のメディアリテラシーも「バカにされたもんだ」と正直思う。

 2009年2月に発表された「2008年日本の広告費」によると、インターネット広告費は、前年比116.3%の6983億円、一方の新聞広告費は、同87.5%の8276億円。「伸び続けるネットに対して激減する新聞」の構造がよく分かる。「今年中に両者の比率が逆転する」などと、ささやかれたりしている。

 では新聞の激減は、インターネット出現によるものだろうか? ネットが伸びたから新聞が激減しているという発想は、ちょっと「おっさん臭い」と思う。そういう「おっさん臭さ」と、前述の手前味噌な記事は通底している。

 「日本の広告費」を経年で見てみると、ネット広告の増加は新聞の減少をはるかに上回っている。ここ2年間で、マス4媒体の広告費総計は、3兆6668億円から、3兆2995億円に減少。一方、インターネット広告費、4826億円から6983億円に増加。ネットには各媒体からの流入が起こっているわけで、新聞VS. インターネットという単純な構造ではない。これは、マス媒体自体のビジネスモデルの衰退の兆しだ。インターネットは信頼できないから新聞の方がいいよ=「空気が読めない手前味噌なニュース記事」を出したり引っ込めたりしているようでは、明るい未来はない。

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