米国発のリーマンショック。その大津波は太平洋を猛スピードで駆け抜け、あれよあれよという間に日本にまで押し寄せてしまった。波をかぶってアップアップしているのは、トヨタ自動車やパナソニックといった日本を代表する企業だけではない。これまで“不況に強い”と言われていた新聞やテレビ、雑誌などのマスコミ業界も講読と広告収入が激減し、いまや右往左往している現状なのだ。私もマスコミ業界の片隅に身を置く者である。それだけに今回の“マスコミ不況”を肌身で感じている。
私はこれまで金融業界紙を皮切りに、地方紙や週刊誌の記者としてペンを握ってきた経歴を持つ。フリーランスになってからは、今は休刊となった『月刊現代』(講談社)のほか、『中央公論』(中央公論新社)や『フォーサイト』(新潮社)といったオピニオン誌にも署名記事を書いてきた。最近は、情報番組のコメンテーターに呼ばれる機会も多くなり、おかげでテレビ業界が抱える構造不況まで目の当たりにすることとなった。
以上のような私の限られた経験から、これからマスコミ業界はどこへ行くのか。また生き残るチャンスはあるのか、などを論じてみたい。これまで長く身を置いてきた雑誌記者として、思うところを書いてみたいと思う。
雑誌名 | 最終号 |
---|---|
週刊ヤングサンデー | 2008年7月31日 |
論座 | 2008年9月1日 |
株価四季報 | 2008年10月14日 |
BOAO | 2008年11月7日 |
PLAYBOY(プレイボーイ)日本版 | 2008年11月25日 |
月刊現代 | 2008年12月1日 |
読売ウイークリー | 2008年12月1日 |
Lapita(ラピタ) | 2008年12月6日 |
編集会議 | 2009年2月1日 |
就職ジャーナル | 2009年2月28日 |
広告批評 | 2009年4月10日 |
諸君 | 2009年5月1日 |
エスクァイア日本版 | 2009年5月23日 |
さて、私が在籍していた週刊誌とは、写真週刊誌の『F』である。とはいっても、かつて5誌あった写真週刊誌は、相次いで廃刊や休刊に追い込まれ、残っているのはフライデーとフラッシュだけ。いまさら『F』といっても、まあ、あまり意味がないかもしれない。
その写真週刊誌の専属記者として、私は10年以上も事件と向き合ってきた。金融の知識を生かして、ときには経済事件にも首を突っ込んできた。もちろん、フリーになったいまも『F』とは付き合いがあるし、発行元の系列週刊誌にも記事を寄せている。
一般的に「新聞とテレビはメディアとして一流」といわれがちだが、本当に“一流”なのだろうか? 対して週刊誌は新聞の下……つまり二流に見られがちだ。週刊誌が二流という意見について、半分は正解。ただし、残り半分は誤解だ。週刊誌の中には二流どころか、一流をしのぐ大きな仕事をやり遂げている例も少なくない。これまでにも一部の週刊誌は、新聞やテレビに先駆けて、社会が抱える病巣に鋭く斬り込んでいる。“一流”のメディアが扱わない問題をあえて取り上げ、ひと足早く社会に警鐘を鳴らしてきた実績もあるのだ。
ただし「週刊誌が二流」という声も分からないわけではない。ド派手なタイトルばかりが先行して、羊頭狗肉(ようとうくにく:見せかけが立派でも実質がそれに伴わないことのたとえ)の記事を書き飛ばす例も、実際は存在するからである。少し聞きかじった噂をウラも取らずに、さも事実であるかのように書き飛ばす週刊誌もある。
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