山口メール イソフラボンの安全性に対する関心については、右側の円グラフと棒グラフのような結果になりました。これによると半数近い方が心配していないことが分かって、ちょっと安心しました。また「心配がある」と答えた方は全体の4分の1で、心配な理由もこちらが想定していた結果になっていたので、有効な打開策を打てると考えられます。一方で未回答者が3分の1もいることがちょっと気になりますので、もう少し調査が必要かもしれません。いずれにせよ、まだ詳細なクロス分析※などは行っていませんので、分析次第ご連絡します。以上
誠 う〜ん、困ったな。予備調査でも本調査でも「紙パック」と「通販」の有意差は変わりないからこれは決まりだと思うけど、「味・口当たり」の項目はどう考えたらいいのかな。まったく、こんなときこそ“師匠”が頼りなんだけど、まだ出張から戻ってないみたいだし。わざわざ橋下さんに聞くのも、ちょっと何だしなあ。
ふとメールのあて先に東山が入っていることを目にした誠は、内線をかけてみることにした。タイミングよく東山も自席にいたらしく、すぐ電話口に出た。
誠 部長、山口さんのメールはご覧になりましたか?
東山 ちょうど今見ていたところだ。社外の本調査もうまくいったようでよかったね。お客様の安全性への関心については、さっそく役員にも報告しておくつもりだよ。
誠 その本調査結果についてのご相談なんです。「味・口当たり」の影響を見定めるためにも試作品の開発スケジュールを前倒しして、モニター評価で最終条件決めをしたいのですが、よろしいでしょうか?
東山 リーダーの君が提案するなら、私には特に反対する理由はないよ。ただしプロジェクト報告会まですでに2カ月を切っているから、スケジュール管理と工数管理はしっかり頼むぞ。もし何か大きいリスクがありそうなら、すぐに連絡してほしい。
誠 ありがとうございます。では、プロジェクト進捗計画表をアップデートして送りますので、よろしくお願いします。
誠 あと2カ月足らずか、無事完遂できるのかなあ……。
東山が非常に理解のある上司であることに感謝しつつも、先が見えないまま納期に追われ始めたプロジェクトの行く末が本気で心配になってきた誠だった。(第12話に続く)
本文中で紹介されているような定量的データ分析を行うためには、そこで使うデータの種類とサンプル数に注意する必要があります。
定量的データは大きく分けて「連続値(計量値)」と「離散値(計数値)」に分けられます。例えば「宅配ピザの配送時間」で説明すると、下図に示したような違いがあります。また同じ目的で集めたデータであっても、単にイエス・ノーだけでなく、時間という連続値で採った方が含まれる情報量が多く、その後の分析のバリエーションも広がります。
さらにサンプル数については、多ければ多いほどいいということでもありません。統計学的には1つの属性に対して最低30個のサンプル数が必要といわれますが、データの種類によっても必要なサンプル数は変わってきます。
データを取る手間と時間を考えれば、なるべく少ないサンプル数で済ませたいものです。だからこそ、連続値でデータを集めるなど、少ないサンプル数でも分析の精度を保つための工夫をして、短期間で効率よく収集できるようにしましょう。
ジェネックスパートナーズ取締役会長。ゼネラル・エレクトリック(GE)で、シックスシグマによる全社業務改革運動に、改革リーダーのブラックベルト(専従リーダー)として参加後、経営コンサルタントに転身。
2002年11月、お客様とともに考え、ともに行動するパートナーとしての視点から、お客様の成果実現のために企業変革を支援し、事業価値向上に貢献するプロフェッショナルファーム「ジェネックスパートナーズ」を設立。日本企業再生を目指して、企業変革活動の支援を推進している。著書に『図解コレならわかるシックスシグマ』、『これまでのシックスシグマは忘れなさい』などがあり、中国、韓国、台湾等でも翻訳出版されている。
「誠」世代が“自立する=自ら考え正しく行動できる”ことが、今後の日本経済を支えるといっても過言ではありません。社会に出たビジネスパーソンとして自立するためのきっかけは誰にでも必ずありますから、そのチャンスに果敢にチャレンジしてほしいと思います。
しかしその際、気合と根性だけでは徒手空拳も同然。本連載でご紹介するようなビジネスリーダーとしての心構えと基本動作を身に付けておいたほうが無難でしょう。これらは難しく考えるのではなく、実際に試してみることが大切です。
本連載の主人公・誠は、おっちょこちょいではありますが、好奇心と向上心を持ち合わせたがんばり屋です。誠のように『天は自ら助くるものを助く』の精神でプラス思考で臨んだリーダーこそが、最後にはきっと生き残るのです。
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