FXにハマる3つの理由石川英彦の「FXハマリ道」(3/3 ページ)

» 2008年06月20日 12時00分 公開
[石川英彦(マネーライフナビ),Business Media 誠]
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FXを“投資”として考える

 FXは堅実な“投資”の方法としても使える。FXでは預け入れた資金の数倍あるいは数十倍の取引が可能だが、もちろん、預けた資金分だけ取引することもできる。つまり、外貨預金と同じように使うこともできるのだ。

 外貨預金と比べると、FXはコスト面で圧倒的に有利である。例えば米ドルの場合、外貨預金の為替手数料は往復2円かかるのに対し、FXなら2銭〜10銭程度で済む。ネット系の銀行では外貨預金の為替手数料は随分安くなったが、それでもFXにはまだまだ及ばない。

 また次回以降詳述するが、FXには、預金の金利に相当する“スワップポイント”というものがある。このスワップポイントも、FXの魅力の1つだ。金利の安い通貨(例:日本円)で金利の高い通貨(例:ニュージーランドドル)を買った場合には、スワップポイントがもらえる(その逆だと支払うことになる)。スワップポイントは業者によって金額が異なるが、毎日もらえるのが“おいしいところ”。例えば1万米ドルの場合、1日のスワップポイントは50円前後(常に変動している)、1年だと1万8250円になる。

 外貨預金でも、FXでも、外貨資産を保有することは、中長期的な投資の手段だ。FXは投機的な要素が強いと言われるが、十分な証拠金さえ預けておけば、取引金額を多少大きくしてもリスクを抑えられ、スワップポイントをコツコツ貯めることができる。取引次第で“堅実なFX”ができるのだ。

 資産を外貨で所有するというと、外貨預金や外貨MMFをまず思いつく人は多いだろう。しかし、手数料の違いとスワップポイントという2点を考えれば、筆者はFXをオススメする。

 さきほど少しの値動きで売買し、利益を狙う方法を紹介した。しかし筆者はスワップポイントを狙った長期投資や、大きな為替変動の波に乗るような中長期(数カ月)での取引もしている。

通貨 米ドル ユーロ 英ポンド スイスフラン カナダドル 豪ドル ニュージーランドドル
スワップ金利 46円 162円 250円 50円 65円 174円 165円
1日にもらえるスワップ金利一覧(1万通貨当たり)。外為どっとコムの2008年6月9日のデータを基に作成

FXはギャンブルではない

 マネー誌はもちろん、一般誌やテレビでも、FXを取り上げているのをよく見かける。その多くの描き方は「FXで簡単にお金もうけ」であったり、「FXで大金持ちになった人/身ぐるみはがされた人」であったりすることが多い。「FX=ギャンブル、投機目的」というとらえ方だ。

 しかし上でも述べたように、FXとはその人それぞれのスタイルで取り組めるもの。取り組み方次第で、FXは堅実な資産運用にも、ギャンブルにも使えるということを、ここで強調しておきたい。

FXは、自分そして世界との戦い

 前のページで、FXとは「誰もが参加できる世界的なゲーム」だと述べた。このゲームの目的は“利益を得ること”。実際、世界の為替取引の9割が投機目的と言われ、貿易決済での取引は1割にも満たないという。通貨取引の参加者のほとんどは、利益だけを狙っている――つまり世界中の人間の“欲”がひしめいているのがFX、ということだ。

 そういった世界でおぼれないためには、セルフコントロールが欠かせない。FXは自由度が高く、人によっていろいろなスタイルの取引ができる魅力的な商品だ。しかし、その魅力がさらなる欲を誘発してくるために、ついつい自分を見失うことがある。

 自分の欲はどれくらいか、あきらめは良いか悪いか、我慢強いかあきらめが早いか――取引をしていてしみじみ思うのは、FXは自分の性格やお金に対する接し方・価値観が見事に露呈される“曲者”だということだ。それもまた“気付き”で面白いのだが、その気付きを教訓に、常にセルフコントロールをしなければ、すぐに投資資金はなくなってしまうだろう。

 お金は理論や理屈で語られる部分が多いが、実際の現場では人間の本能によって動いていると筆者は思う。個々の思惑が大きな影響を与える外貨取引は、まさに“心理戦”。世界がどのように考えて行動しているのか、あるいは行動するのかによって、通貨の価格が決まる。まさに群集心理のカタマリなのだ。

 株式に比べると、為替の世界ではファンダメンタル的な理論理屈が働きにくい傾向がある。どちらかというと、ある出来事を世界の人がどう考えたかによって値段が決まると言っていいだろう。まさにそれは神のみぞ知る世界であり、専門家でも予想は外れる。

 そのような中で自分がどういった行動をとるか? FXに参加しているほかの人はどういう動きをとるのか?――そういう視点で世界を相手に戦っている感じが、FXにはある。

 さらに手ごわいのは自分自身だ。少しうまくいくと欲が出てしまい、止めようと思っていたところで止められなくなる。そんな自分を、どれだけ理性を持って制することができるか、自分との戦いに勝つこともまた、FXをうまく使えるかどうかの分かれ道なのだ。

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