インタビュー
» 2008年05月24日 03時34分 UPDATE

嶋田淑之の「この人に逢いたい!」:極上の会議&研修体験、請け負います――コンファレンスコーディネーター・田中慎吾氏(前編) (1/3)

「今日は長い会議」「泊まりがけで研修だ」と聞けば、憂鬱な気分になるもの。イヤイヤ参加しても、生産性が上がるわけもない。しかし「この人にお願いすると、会議や研修で高い成果が出せる」「また参加したい」と引く手あまたな人物がいるという。「成功の鍵は3つのL」と説く、その極意とは……?

[嶋田淑之,Business Media 誠]

嶋田淑之の「この人に逢いたい!」とは?:

「こんなことをやりたい!」――夢を実現するために、会社という組織の中で目標に向かって邁進する人がいる。会社の中にいるから、1人ではできないことが可能になることもあるが、しかし組織の中だからこそ難しい面もある。

本連載では、戦略経営に詳しい嶋田淑之氏が、仕事を通して夢を実現するビジネスパーソンをインタビュー。どのようなコンセプトで、どうやって夢を形にしたのか。また個人の働きが、組織のなかでどう生かされたのかについて、徹底的なインタビューを通して浮き彫りにしていく。


会議、好きですか?

 どんな業種や職種の人にとっても、会議や研修は、しばしば頭痛のタネである。

 例えば、日常業務でいっぱいいっぱいになっている時。突然、社内の会議室に集められて、新商品や新事業の企画を検討するなどということがある。新しいことを考えよと迫られても、頭の中は「もうすぐ月末だが、ノルマは達成できるかな」「顧客からのクレーム、どう対応しよう?」といった心配でいっぱいで、とてもそんな余裕はない。しかも、業務が終わっていないのに会議に出ているのだ。携帯電話はひっきりなしに鳴り、気分はイライラするばかり……。隣の会議室からは、成績不振な部下をしかりとばす幹部の怒号が轟き、ますます気が滅入ってくる。

 そんな状態の中で、「顧客の心をときめかせるような面白いアイデアはないか」「画期的なプランを出せ」などと言われても、それは無理な相談というもの。結局、ああでもない、こうでもないとダラダラとした非生産的な時間が流れ、ろくなプランが出ないまま解散。皆、「やれやれ」と一目散に日常業務に戻ってゆく。

日本の企業には、こういうタイプの会議が、昔からたくさんある。

こんな研修はイヤだ

ay_shimada_manga.gif 日本の“伝統的な”研修。目的は根性を付けること?

 会議だけではない。研修もまた、多くの社員にとって、しばしば頭痛の種である。特に、泊りがけの集合研修のために自社の研修センターに行くよう命じられて、ウキウキした気分になる人は、果たしてどれくらいいるのだろうか?

 中には、嫌な上司や言うことを聞かない部下の顔を2〜3日見ないで済むだけでうれしい、という人もいるかもしれない。しかし一般的には、できることならサボりたいと思う人が多いようだ。「それでなくても仕事が忙しいのに、平日を2日も3日もつぶされるのは困る」というのが表向きの理由だが、本音をいえば「ボロい研修センターで、つまらないプログラムに付き合わされるなんてバカバカしい」というところではないか。

 そう、研修所というのは大抵“楽しくない”。学生の合宿所のような、まるで魅力やセンスのない建物。刑務所のように息苦しい生活リズム。パッとしない食事。ありがちで退屈な研修内容。会社によっては「座禅を組め」「滝に打たれろ」と精神修養的プログラムを強制されることもある。わずかな楽しみといえば、久しぶりに会った同期と、夜中に自販機で買った缶ビールを飲むくらい。しかしその間にも、携帯電話は鳴るし、メールはどんどん入ってくる――イヤイヤ参加したこんな研修で、前向きな成果が期待できるわけはない。規定のプログラムを“消化”しただけの結果になりやすい。

 従来の日本企業には、どうすれば会議や研修の生産性を上げることができるかという発想は基本的にはなかったと言っていい。「やる気」と「根性」さえあれば、いかなる環境下でも会議や研修は成立する、というのが大多数の経営者の考え方だったからだ。それどころか、「仕事は厳しいもの」と称して、とりわけ研修は、できるだけ過酷な環境で「修行の一環」として行うことを善しとする風潮が、長く日本の産業界を支配してきた。

 しかし本来、会議や研修は、社員をしごくためにあるわけではないはずだ。300人以下の会議や研修は、通常、コンファレンス(Conference)と呼ばれるが、日本の産業界のこうした非科学的なコンファレンスのあり方を変えようとしている人物がいる。

大きな成果が得られるコンファレンスとは?

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 日本コンファレンスセンター協会・会長代行の田中慎吾氏(60歳)はコンファレンスの専門家だ。さまざまなホテルでコンファレンスを手がけてきた田中氏は、現在、プリンスホテルグループを舞台として、生産性の高いコンファレンスプランを創りだし、外資系企業や先進的な企業を中心に支持を集めている。

 プリンスホテルにおける田中氏の立場は、事業企画部・コンファレンス事業担当部長である。取材中も、彼の携帯電話は鳴りっぱなしだ。「お陰様で、今では、こちらから営業をしなくても、たくさんのオファーを頂くようになりました。ただ残念なのは、こなし切れずにお断りする数の方が多いことです」。

 そもそも、彼の仕事とは、具体的に、何をどうすることなのだろうか? 実際に、田中氏が手がけたコンファレンスを見てみよう。

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