インタビュー
» 2008年02月20日 17時46分 UPDATE

Interview:新カード「MUFG Card」が目指すもの――三菱UFJニコス (1/2)

DCカード、UFJカード、NICOSカードと複数のカードを抱える三菱UFJニコス。MUFGグループ傘下、かつ日本最大のクレジットカード会社として同社は何を目指すのか? 今年春に発行される新カードの話題を中心に聞いていく。

[クレジットカード特集取材班,Business Media 誠]

 三菱UFJニコスは複数の会社が合併を繰り返し、誕生した国内最大のクレジットカード会社だ。沿革を振り返ると、信用販売(参照記事)の草分けである日本信用販売(後の日本信販)を筆頭に、ダイヤモンドクレジット(後のディーシーカード)、ミリオンカードと三和カードサービス(後のUFJカード)、協同クレジットサービスを先祖に持つ。現在は三菱東京UFJ銀行の子会社として、銀行系カード会社という位置付けになる。

 改正貸金業法を筆頭に、クレジットカード業界を取り巻く動きが激しくなり、カード会社間の競争も激化する中で、国内最大手の三菱UFJニコスはどのようなかじ取りを行うのか。三菱UFJニコス営業本部執行役員の島貫和久氏に話を聞いた。

乖離が見られ始めた「2つの機能」

ay_nicos04.jpg 三菱UFJニコス営業本部執行役員の島貫和久氏

 日本では1960年に誕生したクレジットカードは、日本人の生活が豊かになり、消費が拡大するのと歩調を合わせるかのようにビジネスを拡大してきた。取扱高は「景気後退期を含めても“右肩上がり”で伸びてきており、その傾向は続いている」(島貫氏)状況だ。

 「この5年の傾向で見ますと、これまでクレジットカード(ビジネス)の2本柱だった『ショッピング』と『キャッシング』の関係に変化が現れています。

 以前は、この2つは並行して成長していたのですが、最近はショッピング需要が持続的に伸びる一方で、キャッシングの利用は伸び悩んでいます。特に2006年12月に改正貸金業法の成立を機に、この乖離(かいり)の傾向が極端になっています。ショッピング需要は2桁成長しているのですが、一方でキャッシング需要は、お客様が“カードでお金を借りる”ことに慎重になっていて縮退傾向にあります」

 改正貸金業法で特に注目された「グレーゾーン金利」の問題は(参照記事)、それ自体がキャッシングビジネスの収益拡大を阻んだだけでなく、利用者マインドを冷え込ませるという逆風にもなったのだ。このような環境下において、クレジットカード各社の取った方針が現在の明暗を分けていると島貫氏は指摘する。

 「キャッシングに対する消費者マインドが冷え込んだことに対してクレジットカード各社の反応は、『今までより積極的に(キャッシングを)PRしていこう』という考えと、『キャッシングの訴求は控えていこう』という考えに方針が分かれました。しかし結果をみれば、改正貸金業法や金融庁の規制はキャッシング需要を大きく縮退させるものであり、キャッシング依存度の高いカード会社は苦しい状況になった。とりわけ金利収入を経営の柱に置いていたカード会社は厳しい状況にあります。一方で、クレジットカードのショッピング需要は相変わらず伸び続けていますので、こちらに経営のウェイトを置いていた(カード)会社は、環境変化の影響は比較的小さいという状況です」

ay_nicos01.gif 2007年12月の第1期中間決算報告より。ショッピング利用が右肩上がりで成長しているのに対し、キャッシング利用が伸び悩んでいることが分かる

 日本ではクレジットカードユーザーの多くが「一括払い」を好む傾向があり、カード会社は、ショッピング分野における収益のほとんどが加盟店の手数料に依存しているのが実態だ。キャッシング利用時の金利手数料は、カード会社のビジネスを下支えする存在だった。これが改正貸金業法で“ぐらついた”ことによる影響は計り知れない。

 「ショッピング需要が伸びているといっても得られる手数料収入は(キャッシングよりも)少ないですから、縮小したキャッシング需要分をショッピング需要の拡大で補いきれるかというと、それほど単純なものではない。さらに過去にお客様が払いすぎた金利分については、時効がなく遡って返還するという流れになっています。これまでのキャッシングに対する依存度による違いはありますけれども、クレジットカード業界全体がビジネスモデルの再構築期にあるといえます」(島貫氏)

手堅い銀行系カードと、攻めのプロパーカード

 このようにクレジットカード業界を取り巻く環境変化は厳しいが、三菱UFJニコスの置かれた状況はどうなのだろうか。

 三菱UFJニコスは複数の歴史あるカード会社が集まってできた会社で、過去にキャッシング取り扱いが多かった。さらに利息返還請求向けの引き当てなどは「銀行の基準で(引当金を)設定している」(島貫氏)ため、決算も厳しい状況になったのだという。それほどまでに改正貸金業法の影響は大きかったのだ。

ay_nicos02.gif 「DCカード」「UFJカード」「NICOSカード」の3つをまとめ、「MUFG Card」を発行する

 むろん、逆風の中で新たなビジネスモデルの構築は始まっている。三菱UFJニコスのクレジットカード事業において、今後重要になる役割は2つあると島貫氏は話す。

 大きな柱が、2大プロパーカードの発行により、新たな顧客を獲得することだ。1つは農協組合員を主な対象とする「JAカード」(発行済)、もう1つが新しくコアとなるブランド「MUFG Card」(2008年上期発行予定)となる。同社のプロパーカードとしては、これまで「DCカード」「UFJカード」「NICOSカード」の大きく3つがあった。これらをまとめて新たに作るのが、「MUFG Card」という位置付けで、これがライバル他社に対抗するための“攻めのプロパーカード”になる。「新しく2大プロパーカードを発行することにより、銀行という(顧客獲得)窓口とは別に、新たな顧客を獲得していこうと考えています」(島貫氏)

 新プロパーカードをコアとして、それを取り巻く形で数多くの提携カードを配置する。その際も「MUFGに対する信頼感と、安心・安全・高品質なイメージが競争力になる」(島貫氏)という。

 「もう1つは当社の母体行である三菱東京UFJ銀行のクレジットカード業務をしっかりと受託していくということです。さらに我々は、三菱東京UFJ銀行と関係の深い地方銀行のクレジットカード業務も受託しており、そういった銀行やフランチャイジーが約50行あります。これが(三菱UFJニコスの)事業の柱の1つになります」

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