KDDIはどうECビジネスを進めるのか(2/2 ページ)

» 2005年06月01日 14時21分 公開
[斎藤健二,ITmedia]
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店舗にとって「まとめてau支払い」のメリットは?

 では「まとめてau支払い」の、店舗側のメリットはどこにあるのだろうか。Eコマースでの支払い方法でこれまで主流だったのは、クレジットカードや代引き、コンビニ支払いなどだ。

 例えば手数料コストで見ると、「まとめてau支払い」は特に有利というわけではない。「単純に数値だけ比較すると、クレジットカードは債権買い取りだということも含めて、携帯のほうがコスト高だとは言われます。しかし、そうはいってもサービス性です。16桁のクレジットカード番号を空で言えるひとはいないわけです。携帯の暗証番号は日常的に覚えているわけですから」(勝木氏)

 この“着うたフルと同じパスワードで買い物ができる”ところが「まとめてau支払い」の最大のポイントだ。着うたフルによってパスワード登録者が増えることが、そのままEコマース普及の基盤にもなってくる。

 「コンバージョンレート(最終購入率)を上げるというEコマースの重要な指標で見ると、確実に決済にたどり着く『まとめてau支払い』を使うメリットが(店舗側にも)あるんです」(勝木氏)

 クレジットカードを持っていないユーザーもターゲットにできるのも特徴だ。

 「いまPCのショッピングサイトは、まずPCを用意してクレジットカードを用意してという世界です。未成年でも、携帯だけで簡単にショッピングできるということで、新しい層の獲得は確実にできるのではないでしょうか」(小野氏)

次のステップは?〜自社物販によって市場拡大

 回収代行サービスというインフラを構築したKDDIが次に行ったのは、自社でも物販サイトを立ち上げることで“携帯Eコマース”市場自体を拡大させることだ。

 2004年11月に、CDのオンライン販売サイト「au Records」を開設(2004年10月27日の記事参照)。その後、音楽DVDや映画、ドラマのDVDも取り扱うようになった。

 「着うた、着うたフルといった音楽をユーザーにお届けする一環として、パッケージソフトもお届けできれば、一気通貫ですべてのメディアパッケージを取り扱える」。勝木氏は狙いをこう説明する。

 その後、書籍ポータルサイト「EZ Book Land!」もオープン。携帯キャリア自らが、携帯ECを手がけ始めた。

 「KDDIが売り始めると、まとめてau支払いの流通額も飛躍的に上がっていく。購買は右肩上がりに上がっているので、期待しています」(勝木氏)

 これまで携帯キャリアはサービスのプラットフォームを構築するだけで、自身がサービス提供に乗り出すことは控えてきた。“餅は餅屋に任せる”作戦だったわけだ。そんな中、KDDIが物販サイト運営に乗り出した理由はなんだったのか。

 「携帯でものを買うということはまだ先行している人だけで、ポピュラー化はこれからだと思うんです。我々がやることで、1回でも物を買う人が増えてくると、その方々はほかの商材にも手を出してくれる。そのためのファーストステップと認識してもらえていると思っています」(勝木氏)

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