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インタビュー

Interview:

モバイル検索サービス市場は「始まったばかり」──ビットレイティングスに聞く (1/2)

GoogleやYahoo!の本格参入により、携帯電話向けの検索サービスが普及しつつある。そんな強力なライバルたちがひしめく中で、モバイル専業の検索サービスとしてトップを目指すビットレイティングスに、“検索”市場の展望を聞いた。
2007年01月09日 16時30分 更新

 2003年7月に設立されたビットレイティングスは、携帯電話向け総合検索ポータルサイトの「F★ROUTE」を中核に、コンテンツアグリゲータとして急成長した企業だ。同社は早くから携帯電話のパケット料金定額制時代の到来を予測し、携帯コンテンツ情報を収集し、使いやすくユーザーに提供してきた。特にau向けのポータルサイトでは高いシェアを持つ。

 そのビットレイティングスが昨年12月、拡大するモバイル検索市場に積極展開するため、総額3億円の第三者割当増資を実施した。エヌ・アイ・エヌSMBCベンチャーズ、りそなキャピタル、みずほキャピタル、HIKARIプライベート・エクイティが割当先として応じた。パケット定額制時代を先見したビットレイティングスにとって、新たに踏み出した一歩といえる。

 今日の時事日想は特別編として、ビットレイティングス代表取締役社長の佐藤崇氏と、同取締役COOの尾下順治氏にインタビュー。同社の現在のビジネスと、今後力を入れる検索市場の展望について話を聞いた。

Photo ビットレイティングス 代表取締役社長の佐藤崇氏(左)と取締役COOの尾下順治氏(右)。「モバイル専業の検索サイトでトップを目指す」(尾下氏)

ポータル、メディア事業で着実な成長

 多くのモバイルベンチャー企業がそうであるように、ビットレイティングスも設立当初は、社長の佐藤氏が1人で始めるという小さな規模からスタートした。売り上げの主軸はクリック保証型のモバイル広告の収入で、当初から社長1人の会社としては十分な売り上げだったという。しかし、その後、モバイル広告市場のバブルが崩壊し、ビットレイティングスも事業規模の拡大と多角化が必要になる。2003年10月にはau公式メニューに参入、翌2004年にポータルメディアやコンテンツメディア事業を拡大し、少しずつ会社の規模も大きくしていった。

 「黎明期のビットレイティングスは、モバイルメディア事業を運営する企業の多くと同じく、社員は数名、ローコストできっちり(サイトを)運営して薄利多売の広告ビジネスを展開するというものでした。会社の規模に比しては十分な売り上げがありましたが、その上(の事業規模)に持っていこうとすると収益性のバランスが崩れるという課題がありました。

 しかし、我々はモバイルのポータルや検索ビジネスに、まだまだ大きな可能性があると考えていまる。2006年2月に第三者割当増資を実施し、さらに12月にも増資を行って、事業展開の規模を拡大したいと考えています」(尾下氏)

 すでに収益構造の拡大にも着手しており、従来からの主軸であるモバイル広告のほかに、モバイルコンテンツ販売やモバイルコマースによる物販分野にも参入している。「現在のモバイルポータルビジネスのトレンドとなるマネタイズスキームはすべて揃えた」(尾下氏)状況だ。

au × Googleで「モバイル検索」市場が注目された

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 携帯電話を使ったモバイル検索サービスというと、昨年発表されたKDDIのauとGoogleの提携が記憶に新しい(2006年5月の記事参照)。検索サービス市場におけるGoogleの存在感は絶大であり、それがauと密接に手を組むことは、大きなインパクトがあった。さらに昨年は、ソフトバンクの携帯電話事業も本格化し、それ以前からあったYahoo! Japanのモバイル検索サービスの注目度も上がった年だ。

 Google、Yahoo! Japanという、知名度が高いプレーヤーがモバイル検索市場に本腰を入れたことは、独立系のビットレイティングスにとってどのような影響を及ぼしたのだろうか。

 「確かに(競争環境として)厳しい面はありますが、それ以上に、GoogleとYahoo!の本格参入はうれしいと考えています。auとGoogleの提携発表によって、モバイル検索市場が注目された、重要視されたという一面がありますから」(尾下氏)

 エンドユーザーの利用形態でも、モバイル検索サービスが認知されるきっかけになり、これらビッグプレーヤーの参入がモバイル検索の利用率向上に果たした役割は大きい。ただ一方で、「(モバイル検索市場の)パンドラの箱が開かれた。我々も利用者規模の拡大を考えなければならなくなった」(尾下氏)のも事実だ。F★ROUTEはすでに100万人を超える利用者を抱えているが、その先を目指す必要が出てきたのである。

 「モバイル検索サービスでいえば、大手だからとって検索クオリティに大きな優位性があるわけではありません。例えばGoogleは(携帯電話からの検索の)多くをPC向けサイトのページに誘導し、携帯電話向けサイトとの垣根をなくす考え方を持っています。しかし一方で、各種専門型検索の結果を統合するバーティカル検索という手法もあります。モバイルでどちらがユーザーの支持を集めるかは、まだわからない状況です」(尾下氏)

 Googleの検索手法は、あくまでPCのUI環境をベースに考えられたものだ。網羅性や一覧性は優れるが、「浅く・広く」であり、そこから目的とする情報に効率的にたどり着くには、ある程度の慣れや選別が必要になる。それが携帯電話でも最適解かどうかはまだわからない、ということだ。

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[神尾寿,ITmedia]

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