モバイル検索サービス市場は「始まったばかり」──ビットレイティングスに聞くInterview(2/2 ページ)

» 2007年01月09日 16時30分 公開
[神尾寿,ITmedia]
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携帯電話向けに最適化された検索サービスとは?

 ビットレイティングスは「携帯電話向けの検索サービス市場は始まったばかり」(佐藤氏)と考えており、特にPCよりも携帯電話の利用が多い世代・ユーザー層においてはGoogleやYahoo!のプレゼンスやブランド力が絶対的ではないとする。モバイル検索市場はこれから広がる領域であり、「まだ十分な可能性がある」(尾下氏)のだ。

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 「例えば最近ですとウィキペディア検索機能が月間2〜3倍のペースで伸びています。F★ROUTEの場合、インデックスだけでなく全文書からマッチングを行いますので検索精度が高い。このあたりが支持されています」(佐藤氏)

 またF★ROUTEは検索結果の精度や見せ方にもこだわっており、同社がクラスタリング検索と呼ぶ手法を用いている。

 「Googleは検索結果の見せ方でシンプルさと要約感を重視し、検索結果をずらりと並べます。PCならば確かに何百件もの検索結果を数十件単位で表示してブラウジングできるわけですが、(画面サイズの小さい)携帯電話では一度に表示できる検索結果が少なくなります。

 そこでF★ROUTEでは検索キーワードのトピックを自動分類し、カテゴリを細分化してから結果を表示する“クラスタリング検索”を用いています。これを用いることで検索精度が上がり、(携帯電話の小さな画面でも)効率的に目的の情報にたどり着けるようになります」(佐藤氏)

 さらにF★ROUTEは、そもそも携帯電話向けポータルからスタートしたため、着メロや着うた、動画コンテンツなど携帯電話向けのエンタテインメント情報の検索精度ではPC向け検索サービスに比べて優位だという。

 「検索ヒット率の高いサイトを『ぴったりサイト』としてトップに表示し、さらにカテゴリーごとにキーワード検索結果を表示するなど、UIの部分にはかなりこだわっています。これらは実際に使ってもらうと(使いやすさが)わかっていただけると思います」(佐藤氏)

 さらに将来的には、ユーザーの属性にあわせて検索結果が変化するパーソナライゼーション機能への対応を考えているという。携帯電話はパーソナルな情報ツールという側面があるので、「(パーソナライゼーションは)PCよりも適している部分がある」(尾下氏)からだ。

モバイル検索サービスはさらに進化する

 ビットレイティングスは「広く・浅くだけでなく、ユーザーの求めに応じて狭く・深く探せることも重要」(佐藤氏)という考えの下、クラスタリング検索や、カテゴリーごとに専門辞書を検索するバーティカル検索などの機能を研ぎ澄ませてきた。その結果として、携帯電話という限定的なUI環境の中でも使いやすく、精度の高い検索サービスを実現している。

 「むろん、他の検索サービスがモバイルに本格参入したことで競争も激しくなっています。当社としては現在の優位性をいかして、様々な事業者と連携してモバイル検索サービスをさらに進化させたい。例えばネットの世界ではAPI公開による連携のスキームが増えていますが、そういったマッシュアップ的な(モバイル検索サービスの)進化も考えられるでしょう」(佐藤氏)

 この5年あまりで携帯電話のネット接続機能は大きく進化し、多くの人にとって最も身近な「情報への入り口」になっている。その先には、PCで扱う情報検索以上の価値や可能性があるといっても過言ではない。ネットとリアルのあらゆる情報に、誰もが携帯電話からアクセスできる。その世界を実現するための模索は確かに“始まったばかり”だ。

 GoogleやYahoo!といったピッブプレーヤーの動きは耳目を集める。だが、その一方で、モバイル検索サービスに特化し、この分野の造詣が深いビットレイティングスのような新興企業の動向にも注目しておく必要がありそうだ。

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