今や100人に1人はモバイルSuica――JR東に聞く「Suica最新事情」Interview:(2/3 ページ)

» 2006年12月14日 15時39分 公開
[神尾寿,ITmedia]

PASMO開始はモバイルSuicaの追い風

 首都圏を見れば、直近の注目は2007年3月に私鉄・バスで導入される「PASMO」である。これもFeliCa方式のIC乗車券/電子マネーであり、導入当初からSuica/Suica電子マネーとの相互利用が予定されている。

 「PASMOが始まれば、モバイルSuicaのユーザーも増えると思っています。私鉄沿線にお住まいで、私鉄とJRの連絡定期券を使っていた方は、これまでモバイルSuicaが利用できなかった。しかし、PASMOが始まれば、私鉄とJRの連絡定期券をモバイルSuicaで提供するようになりますので、私鉄沿線にお住まいの方にも(モバイルSuicaが)使いやすくなります」(山田氏)

 以前から私鉄−JRの乗り換えでSuicaが使えないのは不便なところだった。それがPASMO導入で改善され、さらにチャージがしやすく電子マネーとして使いやすいこともあり、モバイルSuicaの追い風になるというのが、JR東日本の考えだ。

 PASMOの電子マネーについては、今年11月に東京急行電鉄と三井住友カードが加盟店開拓で提携するなど、私鉄沿線での広がりに期待が出てきている。この決済端末はPASMO/iD/Suicaの共用タイプになることが決定しており、特にいち早くおサイフケータイ対応をしたモバイルSuicaにとっては小さからぬ相乗効果が見込めそうだ。

 首都圏では私鉄・バスのPASMOとSuicaが相互利用できるようになる一方で、同じJRグループの中ではJR東海がTOICAを始めるなど(11月24日の記事参照)、IC乗車券分野の広がりが出てきている。ユーザーの立場からすれば、これらJRグループのIC乗車券/電子マネーの相互利用が確立されて、シームレスに使えるようになることへの期待がある。

 「TOICAについてはIC乗車券としても相互利用の話ができてない状況です。電子マネーを始めるかどうかも、特に聞いていないですね。

 IC乗車券の部分に関しては、JR西日本のICOCAの時と同じように、JR東海の中でTOICAが整備されてから(Suicaなど他のJRとの)相互利用の話になってくると考えています。お客様がそれ(相互利用)を望んでいるわけですから、いずれは相互利用することになると、我々(JR東日本)は考えていますよ」(山田氏)

モバイルSuicaユーザーは電子マネー利用が活発

 Suicaは電子マネーの利用率が高いのも特徴である。

 「現在、Suica電子マネー加盟店は9644店舗ですが、1日約39万件の決済が行われています。利用頻度は今も伸びています。面白い傾向としては、夏に自販機の利用が急増して(Suica電子マネー)の利用率を大きく押し上げました」(山田氏)

 自販機の対応は他のFeliCa決済方式でも進んでいるが、Suica電子マネーの場合は、駅ナカという“Suicaユーザーが必ずいる場所”にSuica対応自販機が設置されているのがポイントだ。ここで夏場の利用率が急増したことは、FeliCa決済が自販機利用を押し上げる効果を発揮した1つの例と言ってもいいだろう。

 またモバイルSuicaに注目すると、カード型のSuicaユーザーよりも明らかに“利用が多い”傾向が見られるという。

 「モバイルSuicaのチャージ額平均は4000円を超えています。カード型のチャージ額平均は1500円〜2000円ですから、明らかにモバイルSuicaユーザーの方がチャージ額が大きいですね。

 あとグリーン券購入の頻度も、モバイルSuicaユーザーの方が多いですね。(モバイルSuicaでの)グリーン券販売は1日3000件くらいあります」(山田氏)

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