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モバイル広告の世界を正常化したい――サーチテリアの挑戦 (1/3)

あるキーワードで検索すると、検索結果と一緒に関連する広告が表示される――PC向けサイトではおなじみのSEM広告の仕組みを、携帯の世界に持ち込もうとしている会社がある。携帯+SEM広告で何が変わるのか、その狙いと目標を聞いていく。
2006年07月11日 15時09分 更新

 記者は以前から、常々不思議に思っていたことがある。それは、携帯サイトで表示される広告(モバイル広告)の極端な偏りだ。

ay_st03.jpg サーチテリアの中橋義博社長

 キャリアの公式サイトに表示される広告(レップ広告)は、多くが公式サイトに登録されているコンテンツプロバイダなどが広告主となって出稿しているものだ。そして、いわゆる「勝手サイト」に表示される広告は、出会い系や消費者金融といった、ちょっとアングラな匂いがするものが中心になっている。テレビや新聞雑誌、あるいはPCのWebサイトを見る限り、これらの広告主は主役ではない。携帯向けサイトに限って、どうしてこんなに広告主が偏っているのだろうか?

 そんなモバイル広告の世界に、PC向けWebサイトと同じ、検索エンジンマーケティング(SEM)の仕組みを持ち込もうとしている会社がある。携帯向けの広告市場は伸びているといわれるが、なぜこんなに特殊なのか。また、他のサイトと同じように伸びていくのか? 携帯向けサイトでの検索連動型広告を手がける、サーチテリア社長の中橋義博氏に話を聞いた。

モバイル広告の現在

 サーチテリアの話に入る前に、まずモバイルとPCを合わせた、ネット広告の現状について見ていこう。下に示したのは、バナー広告やテキスト広告、メール広告、SEM広告(詳しくは後述)などを全て含めた、広告費全体の規模である。

2004年 2005年
PC用サイト向け広告 1800億円 2800億円
モバイル(携帯用サイト向け)広告 180億円 288億円

 大ざっぱに見て、モバイル広告の規模はPC向け広告の約10分の1しかない。しかも携帯の場合は、3キャリアそれぞれに広告を用意しなくてはならず、手間は3倍かかってしまう。規模が小さい上、余計に手間がかかるのであれば、広告主にとってモバイル広告市場は魅力があるものにはならない。

 またモバイル広告は、各キャリアの公式メニュー内で扱われるレップ広告と、それ以外の勝手サイトの広告、そしてメール広告などに分けられるが、冒頭に書いたようにレップと勝手サイトでは広告主が偏っている。つまり一般の広告主が幅広く広告を出すには難しいのが現状なのだ。

 一方、PC向け広告の世界で現在最も成長しており、主流になりつつあるのが、SEM広告である。Search Engine Marktingの略で、「リスティング広告」とも言われる。

 PC用サイトで検索エンジンにキーワードを入力し、検索をかけると、通常の検索結果とは別に、そのキーワードに関連する企業広告が出てくるのを見たことがあるだろう。これがSEM広告で、Googleの「AdSence」やYahoo!(旧Overture)の「スポンサードサーチ」などが代表例だ。

 SEM広告には大きな特徴がある。一般にバナー広告やテキスト広告、あるいはメール広告の場合、広告を出す媒体にどれくらい読者がいるか、どんな読者が付いているかによって値段が変わる。単純に言えば、読者がたくさんいて、自社の広告がその読者層にマッチしていることを期待して広告費を払うわけだ。影響力がある媒体だと思えば、実際にその広告の効果が出ても出なくても、広告費は高くなる。原則として広告の価格は、1回露出されるあたりの単価×露出される回数で決まると思っていい。これに対してSEM広告は、広告が表示されるだけでは料金が発生せず、広告をユーザーがクリックして初めて課金される。そして広告の価格は、媒体の読者数とは関係なく、1クリック当たりの単価×クリック数で決まるのだ。1クリック当たりの単価は、広告主が入札した額になる。

 このSEM広告の手法を、モバイル広告の世界に持ち込もうとしているのがサーチテリアだ。しかし特許の関係から、OvertureやGoogleの仕組みをそのまま携帯の世界に持ち込むことはできなかったという。サーチテリアのSEM広告は、どのような特徴があるのだろうか。

サーチテリアのSEM広告とは?

 携帯向けのSEM広告を、「よく利用している」という人はほとんどいないだろう。携帯用サイトで調べ物をしたりする人はまだまだ少ないし、PC用のWebサイトと違い画面が狭いなどの制約もあるため、モバイルに合わせた見せ方をしなくては利用してもらえない。具体的に、サーチテリアのSEM広告がどのように利用されているのかを見ていこう。

 まず、ユーザーが携帯で検索をする際に、「サーチテリア」の名を見ることはまずない。ユーザーが目にするのは、例えば「infoseekモバイル」などのメディア、検索エンジンであり、その検索結果として、サーチテリアが仲介する広告主の広告が掲載されることになる。

ay_sea02.gif サーチテリアは、広告のデータベースのような存在。広く広告を集めて、その情報を必要としているユーザーに、検索結果にマッチした広告を提供する

 1回の検索で、何件まで検索結果(広告)を表示するかなど、“どのように表示するか”はメディアに任されている。そのため検索窓を使った検索以外にも、検索結果(広告)をコンテンツとして提供する、といったことも行っている。これなどはモバイル広告らしい展開といえるだろう。

photo 「infoseekモバイル」の例。検索窓であるキーワードを検索すると、そのキーワードに関連する広告が表示されるが、特にどれが広告でどれが一般サイトなのかは書かれていない
photo 検索結果をコンテンツとして見せている例。左の画面で「ファッション」をクリックすると、ファッションという言葉でサーチテリアのデータベースに登録された広告主のサイトが表示される(右)。ユーザーは検索しているとは気付かずに、SEM広告を見ることになる
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[吉岡綾乃,ITmedia]

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