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2005/08/23 11:28 更新

“使いやすさ”が、EZ FeliCaのこだわり(後編) (2/2)
BREWを使うメリットとデメリット
KDDIはおサイフケータイ参入に際して、FeliCaアプリの技術に「BREW」を採用した。BREWの詳細については特集記事に譲るが、同社はかねてよりBREW技術の浸透に注力してきた背景からも、これは当然の判断だろう。
しかし一方で、ドコモのおサイフケータイとアプリが全く違うことは、アプリを用意するサービスプロバイダーにとって負担になる。特に携帯電話アプリの開発が本業ではないリアル店舗の中には、小中規模の事業者を中心にキャリアごとにアプリ仕様が違うなど、差異が生じることへの不安と嫌忌の声があるのも事実だ。
BREW採用にはメリットがあると同時に、デメリットもないのか。
「まずBREWのメリットですが、サービスアプリ開発において許容範囲が広くて技術的なパフォーマンスに優れていることです。(UIに重要な)ビジュアル性や動作性の部分で、JavaではできないことをBREWはできますから、サービスを進化させる“のりしろ”は広い。開発力のある大手のサービスプロバイダーならば、EZ FeliCa用のアプリは、他社向けのアプリより高度なものを作ることができます」
「一方で、中小の事業者ではキャリアごとに複数のアプリを開発することは、事実上、無理だと考えています。我々も究極の目的としては、EZ FeliCaを中小事業者にも普及させたいと考えていまして、この部分はASPサービスという形での対応を考えています」(小柳氏)
今回、KDDIのおサイフケータイ参入に際しても、NECやテックファームがEZ FeliCa向けASPサービス提供に名乗りを上げている(8月2日の記事参照)。中小の事業者はASPサービスを利用してもらうことで、au対応をしてもらうというアプローチだ。今後、FeliCa関連サービスの導入企業がサービス開発をSI企業に依頼する場合、KDDIではBREW版FeliCaアプリの開発ができるSI企業を紹介するという。
おサイフケータイのBREWでの採用は、今後、auが強みとするコンテンツ・メディアサービスとFeliCa関連サービスとの連携でも重要な部分だという。サービス連携の詳細は明かされなかったが、音楽や放送分野で積極的な取り組みを行う同社だけに、BREWによって「ドコモのおサイフケータイとの差別化」がどれだけできるかは、重要なポイントになりそうだ。
フリー領域、TypeBへの対応はどうするか
既報のとおり、EZ FeliCaではセキュアな「共通領域」には対応するが、より簡易にサービスが開発できる「フリー領域」には対応していない。EdyやモバイルSuicaなどセキュリティが重視されるサービスは共通領域の利用が当然だが、中小規模のおサイフケータイ活用でフリー領域非対応はデメリットにならないのか。
「大手事業者を中心に共通領域を使うのが一般的になっていますし、一部の企業がフリー領域でサービスを開始してから共通領域を利用する形にシステムを変更したという例もあります。現状、共通領域の利用が一般的になっていると認識しています」
また、非接触IC技術には住民基本台帳カード(住基カード)が採用する「TypeB」がある(2002年9月18日の記事参照)。現状、SuicaやICOCAなど交通系、Edyなど電子マネー系がFeliCaを採用するため、TypeBが重要視されることは多くない。KDDIは以前からTypeB搭載の携帯電話をイベントなどで参考出展していたが、他の非接触IC技術に対してどのようなスタンスなのか。
「これまでTypeBとFeliCaのデュアル搭載端末の試作などもしてきましたが(2003年12月12日の記事参照)、我々が重視するのは『市場でどれだけ使える技術か』という部分です。TypeBに関しては住基カードなどがありますが、携帯電話に載せる必然性があるかという部分で疑問もある」
「しかし、今後の動向としてはTypeBにも注目し、技術開発は行っています。この分野で重視しているのがクレジットカード業界の動向です。ドコモと三井住友FGの提携のように(2003年12月12日の記事参照)、日本ローカルのFeliCa型クレジットサービスが普及するのか、それとも(VISAやMASTERなど)クレジットカードブランドが世界標準として推し進めるTypeBが世界的な標準になるのか。この部分は(情勢を)見極めなければなりません」
KDDIはTypeB対応端末の商用化を今すぐ行う予定はないが、クレジットカード業界のデファクトスタンダードがTypeBになれば、対応ができるように技術開発は止めていないという。
日本や中国(香港)などアジア圏では成長が著しいFeliCaだが、今のところ欧米での存在感は薄い。携帯電話のクレジットカード化では、VISAやMASTERなどブランドホルダーの動向は無視できない。非接触IC分野のデファクトスタンダードを巡るつばぜり合いは、TypeBや、FeliCaがいかせるNFCなどがあるが、ここは将来的な携帯電話搭載を睨んで注目しておく必要がありそうだ。
おサイフケータイのMNPへの影響は?
おサイフケータイは携帯電話に新たな機能・ビジネスをつくる要素であると同時に、ユーザーを「囲い込む」ツールでもあると、携帯電話業界内では見られている。その直接的なターゲットは、来年の開始が予定されているモバイル番号ポータビリティ(MNP)だ。
「2006年にはおサイフケータイのサービスがかなり浸透してくる。その時に、(音楽などメディアサービス系の)auならではの強い部分があって、その上で、おサイフケータイに対応しておくことが必要だと考えています。おサイフケータイがないないが、MNPの競争でデメリットになります。(MNPに向けた)端末の魅力化の中で、持っておくべき機能である、というスタンスですね」
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[神尾寿,ITmedia]
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