クアルコムが重視する「BREWの原点」とは Interview:(3/4 ページ)

» 2005年08月12日 11時41分 公開
[平野正喜,ITmedia]

BREW上にJavaを? そしてアプリ審査は変わる?

ITmedia BREWには「審査に時間がかかる」という声をよく聞きます。「安全第一」という目的上、ある程度仕方がないことだと思いますが、「自分たちの仕事に使うアプリを、すぐに使いたい」というユーザーニーズは小さくありません。日本に限らず、海外でもこのニーズはありそうに思いますが、対応の予定はありますか。例えば、BREW上に直接アプリを載せるのではなく、BREWの上にJava(JVM)を載せ、その上で開発・実行するという方法などが考えられますが、いかがでしょうか?

野崎 日本でも海外でも今のところ対応予定はありません。安全なアプリを何らかの保証のもとで配信するという考え方は変えていませんので、いわゆる「勝手アプリ」はすべてサービス対象としていません。

ITmedia 日本では、配信するアプリに関してKDDIが厳しいチェックをしていますが、では、その安全性を保証する仕組みにおいて、海外のキャリアではどうでしょうか?

野崎 実運用として、どのレベルまでチェックするのかは、実はキャリアの裁量に任せられています。いくつかの国では、(KDDIのように)テストを1から10までキャリアが行うのではなく、「セルフテスト」させるというのが普通になってきています。つまり、コンテンツプロバイダーがキャリアの指定した項目に従ったテストを行えば、それでOKとするケースもあります。

ITmedia 品質責任をコンテンツプロバイダーに負わせるという考え方ですね。

野崎 そうです。品質の低いアプリを出荷してしまえば、信用を失うのはコンテンツプロバイダーですので、経験と実績を積むことを条件に、セルフテストを認めようという場合があるわけです。ただし、どの程度までをキャリアの責任にするのかは、キャリアごとにそれぞれ異なっています。

ITmedia 法人ビジネス向けアプリと、ゲームやホビー向けアプリで、審査の部署や仕組みを変えてしまうという考え方はいかがでしょうか。

野崎 実際にKDDIにおいても、検証を含めて運用では、法人ビジネス向けアプリと、コンシューマー向けアプリは分けて行われています。法人ビジネス向けには、KDDI-MSP(モバイルソリューションパートナー)制度もありますので、アプリの検証も全く別に行われています。まあ、この運用がもっと進んで、セルフテストまでいくのかどうかは分かりませんが。

BREW上でのJVMの提供の真の問題

ITmedia 本来のJavaのあり方であるサンドボックス・モデル(実行環境の隔離による安全性の確保)から考えると、BREW上で動作するJavaVM(仮想マシン)を提供して、自由な(勝手)Javaアプリの開発をという声が海外から聞こえても良さそうに思うのですが。

野崎 あまり聞こえてきません。検証の問題もありますが、端末のコストという大きな要素をかかえているところで、勝手アプリを許すことによるリスクを判断して、踏み切らないのだと思います。

ITmedia 勝手アプリでも、ビジネス系であればある程度許容できるのではという議論もあります。

野崎 確かに、ビジネス系とコンシューマー系では、同じJavaアプリでも違うとは思います。ですから、今までどおりBREW上で構築し審査を受けて動作させることと、JavaVMを搭載してリスクを背負ってまで勝手アプリを許容することとの、単純なコスト比較の議論になるでしょう。

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