クアルコムが重視する「BREWの原点」とは Interview:(4/4 ページ)

» 2005年08月12日 11時41分 公開
[平野正喜,ITmedia]
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W-CDMAでの本格的なBREW活用はいつから?

ITmedia 6月に発表された、BREWによるCRMソリューション「salesforce.com Mobile Editon for au」は、元々、非常にユーザがカスタマイズしやすいASPパッケージである「salesforce.com」をケータイ上で実現しました。ビジネスアプリにおいては、このように、アプリ本体は変更せずに、高度なカスタマイズを可能とすることで、多くのユーザに対応できるソリューションが登場すると考えられますか。

野崎 そうですね。その意味では、KDDIとソア・システムズの「ル・クローン」(のBREW対応版、7月7日の記事参照)を含めて、ビジネス系においてもっと柔軟性のあるものが出てくると思います。

ITmedia BREWは基本的にCDMA2000端末に対応しているわけですが、W-CDMA端末にも対応していると聞きます。ドコモとボーダフォンを含めて世界的にW-CDMA端末におけるBREWの活用は進展していますか? 先日、クアルコムチップを採用した初のFOMA端末「SA700iS」が発表されたこともあり(8月2日の記事参照)、注目の集まるところだと思いますが。

野崎 まだお話できることはありません。しかし、プラットフォームという意味では、BREWは載っているわけですから、活動は継続して行っています。

ITmedia 以前からヨーロッパで行われているGSM端末へのBREWの活用は進展しているのですか。

野崎 継続して進めています。しかし、まだ、具体的なサービスは開始されていません。特定のターゲットが決まれば、その都度検討することになると思います。

原点であるBREWの精神は変わっていない

ITmedia これから年内のビジネストピックは何でしょう?

野崎 BREW3.1に関しては、日本ではKDDIから次々と登場する端末をサポートしていきます。uiOneについても開発を続けていきます。

ITmedia uiOneに関しては、本格的な展開の予定はどうなっていますか。

野崎 BREWソリューションの1つとして、世界中からのuiOneへの関心が高まっていることは事実ですので、海外主導での何かを早い段階で発表できたらと思っています。すでに、米国のALLTELがuiOneに関連したリリースを出していますし、他社ともいくつかの話が並行して進んでいます。今年のBREWカンファレンスでは、英オペレータのO2が「uiOneに期待している」という内容のアナウンスをしていました。活用するという宣言ではありませんが(笑)。

 ALLTELは、既にBREWアプリの配信をしていますので、uiOneの配信も行う可能性があります。しかし、O2の場合、uiOneの配信のみを行うかもしれません。

ITmedia uiOneだけの配信があるとすれば、「BDS(BREW Distribution System)」と呼ばれていた配信システムは、BREWアプリ専用ではなくなるということですね。

野崎 それどころか今年6月に、uiOneとコンテンツの配信を含めた新しいシステム「DeliveryOne」として刷新しています。これは、モバイルコンテンツのデリバリーおよびデバイス管理ソフトウェアソリューションで知られる英ELATAとの共同マーケティング契約によるものです。「DeliveryOne」は、コンテンツデリバリーシステムとBREWデリバリーシステム(BDS)、uiOneデリバリーシステムの3つを備えた製品セットになっています。

ITmedia お話を聞いていると、BREWが「携帯アプリプラットフォーム」からどんどん外へ広がっている印象を受けます。

野崎 原点という意味では同じ軸の上にあると思います。大前提となる無線通信技術が根幹であり、これをきちんと確認したチップと上位のソリューション(アプリやユーザーインタフェース)こそが、弊社の他社との違いです。BREWの解釈が広くなり、場合によって異なって見えることがあるかもしれませんが、原点であるBREWの精神は変わっていないといえるでしょう。

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