コカ・コーラで学んだ「言われたことだけやるな」外資系エリートが実践する「すぐ成長する」仕事術(2/2 ページ)

» 2014年11月11日 05時00分 公開
[川井隆史,Business Media 誠]
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上司を顧客として仕事をする

 これでとりあえずは一安心と言いたいところだったが、新しい事業部である上、入社して1カ月あまりで会社のこともまだよく分からない状態であった。しかも、大枠では事業計画・予算作成・管理をやることは聞いていたが、何から手をつけていいか分からない。とりあえず上司に言われた報告書を作成しつつシステムの導入などをやっていたが、あまりやることがない。

(写真と本文は関係ありません)

 何だか不安になってきたので、以前の部署の同僚で、かつ同じ事業部の別部署にいる米国人の仲間の様子をうかがいに行った。彼のほうが1年以上前に入社していて、以前の部署でもとにかく要領がよく、仕事が速いイメージがあったからだ。

 彼の仕事のやり方を見てがく然とした。彼は、どんどん上司に積極的に提案して自分の仕事をつくり出していた。例えばパッケージのコスト管理手法を自分で考え、提案資料の形でまとめて上司にプレゼンしていた。そして適当なタイミングで、上司に進捗や成果をアピールしているのである。

 ここで気付いたのは、彼は、社内の仕事とはいえ上司を顧客として仕事をしていることである。自分もアーサー・アンダーセン時代、コンサルティングで顧客にさまざまな提案をして仕事を進めていたが、あの要領で進めていけばよいわけだ。コンサルティングで顧客に言われたことだけをやっていたら、それはコンサルティングではなく、たんなる請負作業である。

上司の仕事は部下の提案を引き出してサポートすること

 コカ・コーラでは、上司の仕事は部下に仕事を与えて細かく管理することではなく、部下の提案を引き出してサポートすることであった。したがって最低限の指示だけがあり、言われたことだけやっていたら、まともなアウトプットは出てこない。

 さっそく、今後必要な経営管理資料の一覧とスケジュールなどを作成し、上司にプレゼンをした。多少修正は受けたものの、上司から「グッドジョブ」と初めて言われ、非常にうれしかったことを覚えている。

 なお、上司にプレゼンといっても、実際には日本で言う「ホウ・レン・ソウ」(報告、連絡、相談)に近い。ただ、単に現状を知らせて相談するのではなく、自分で新しいことを提案してそれをもとに上司の支援をもらい、最終報告もそれなりに自分の成果をアピールする場であることが、いわゆる「ホウ・レン・ソウ」とは異なる。これくらいの積極性がないと外資系企業で活躍することはできない。

 このように、どんどん提案して仕事を進めていくにしたがって、他部署の人もサポートしてくれることが多くなる一方、さまざまな相談を受けることが多くなり、仕事の範囲は拡大していった。そのかいもあり、新規事業部入社時はシニアスタッフ(日本企業だと主任)だった私が、半年で事業部経営管理部門の長(マネジャー)に昇進することができたのだ。

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