自分に期待しなければ、企画はでてくる困っている人のための企画術(3/3 ページ)

» 2014年08月26日 11時00分 公開
[福里真一,Business Media 誠]
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企画をどんどん思いついてしまうことの効用

 気楽になって、企画をどんどん思いついてしまうことの効用は、すごく大きいものがあります。

 例えば、私は、午前中の10時から12時までの2時間を、なるべく企画にあてるようにしているのですが、2時間考えて何も思いつかなかったりしようものなら、朝から本当にげんなりしてしまいます。

 「何だったんだこの2時間は?」と悲しくなる。そして、自分にはもう一生何も思いつけないんじゃないかと絶望し、どこか、北の海にでも逃げ出したくなる。それに、企画すること自体が嫌いにもなってくる。

 一方、「たいしたことのない企画でもいい」と気楽にかまえて、本当につまらない企画でもどんどん思いついたものを形にしていくと、2時間後には5案ぐらいの企画ができていて、自分の目の前で紙の束になっていたりする。

 そうすると、もうそれだけで気分がいいんですね。とにかく、自分は2時間企画をやったということが形になって残っているので、「おつかれ、自分。よくがんばったね」という感じになる。

 いい悪いは別にして、企画自体はあるわけですから、次に考えるときも、ますます気楽に考えることができるようになる。

 「まあ、全然思いつけなくてもすでに5案もあるもんなー」と思うと、心に余裕ができて、ますます思いつきやすくなっていく。

 しかも、思いついたときには「まあ、思いついたことは思いついたけど、全然だめな企画だなあ」と思っていたものが、翌日にあらためて見直すと、「意外といいかもなあ」となったり、周りの人から「これ、いいですね」と言われたりすることもけっこう多い。

 だから、気楽にどんどん思いついてしまうというのは、私のような凡人プランナーにとっては、けっこういいことづくめなのです。

まずは何でもいいから、思いつく

 よく、「頭が真っ白になって何も思いつかない」、という若いプランナーがいますが、これは「“いい企画”を思いつこうとしているから」であることが多いんですよね。

 いきなり、周りの人々がひれ伏すような、すごい企画を思いつこうとしていることが多い。

 まあ、それで本当に思いついちゃえば、それはそれでいいんでしょうけど、すごい企画を思いつくどころか、何も思いつけなくなったりしているようなら、とにかく、何でもいいから思いつく、というふうに方向転換してみたらどうでしょう?

 人は、「何でもいい」と思ったら、何かは思いつきます。で、そうしていろいろ思いついているうちに、いつの間にか、いいことを思いついている自分に気付くかもしれませんよ。

 →連載:「困っている人のための企画術」 記事一覧はこちら

著者プロフィール:

福里真一(ふくさと・しんいち)

ワンスカイ CMプランナー・コピーライター。1968年鎌倉生まれ。一橋大学社会学部卒業。92年電通入社。01年よりワンスカイ所属。

これまで1000本以上のテレビCMを企画・制作している。主な仕事に、吉本興業のタレント総出演で話題になったジョージア「明日があるさ」、樹木希林らの富士フイルム「フジカラーのお店」、トミー・リー・ジョーンズ主演によるサントリーBOSS「宇宙人ジョーンズ」、トヨタ自動車「こども店長」「ReBORN 信長と秀吉」「TOYOTOWN」、ENEOS「エネゴリくん」、ダイハツ「日本のどこかで」、東洋水産「マルちゃん正麺」などがある。

ACC(全日本CM放送連盟)グランプリ、TCC(東京コピーライターズクラブ)グランプリ、クリエイター・オブ・ザ・イヤー、など受賞。その暗い性格からは想像がつかない、親しみのわくCMを数多くつくりだしている。

著書に『電信柱の陰から見てるタイプの企画術』(宣伝会議)がある。


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