「成果が出ない」「人間関係がうまくいかない」――この問題は少人数チームで解決できる時代が求める「少人数チーム」の作りかた(2/2 ページ)

» 2014年06月03日 11時00分 公開
[開米瑞浩,Business Media 誠]
前のページへ 1|2       
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 次に、現場の声から、仕事のプロセスを可視化する方法を考えます。

現場の声3:(営業コンサルタント、庄司充氏)テレアポをかける場合には、“どんな流れで話をするか”という台本の善し悪しでアポイントメントの獲得率が10倍以上違ってきます。そこで、テレアポ作戦を始めるときには、まず同じ台本を全員が使って短時間試し、結果を持ち寄って修正するという作業を繰り返します。

Photo

 ここでは、メンバーそれぞれが「テレアポ」という作業をどのように行っているかを全員で共有し、改善することで上がった成果も全員で確認しながら、さらなる改善を図る――という体制を組んでいるわけです。これがプロセスの可視化です。

 電話営業では、「個人にノルマを課し、達成できないスタッフをさらに追い詰めて働かせる」といった話も聞きますが、こんなやり方では改善が進まず、成果が上がるはずもありません。プロセスを可視化すれば、チームの問題点が見つかり、素早い対応が可能になるのです。

 ここでもう1つ注目したいのが、「全員で改善する」ことの意義です。人は「自分の力が仲間の役に立っている」と感じるとやる気が出るもの。アイデアを出す手法として有名な「ブレーンストーミング」も、6人以下で行うのが良いと言われています。4〜5人のチームなら“全員でアイデアを出し合おう”という雰囲気になりますが、10人にもなると、課題を“自分ごととしてとらえられない”メンバーが出てきてしまうのです。

メンバーから良いアイデアを素早く引き出すには

 問題点を発見したら、次はその解決策を探します。そのためには、メンバーからいいアイデアを素早く引き出していく必要があります。

現場の声4:(営業コンサルタント、庄司充氏)営業チームの強化支援を始めるときによくやるのが、その日にあった「いいこと」をメンバー全員とメールで共有する「いいことメール」です。「お客さんからお茶をおごってもらいました」というささいなことでもいいんです。ちょっとした「いいこと」を気軽に出せるようになると、そこから応用できるアイデアも生まれてきます。

 仕事に役立つアイデアは、命令されて出てくるものではありません。良いアイデアを引き出すためには工夫が必要で、「いいことメール」はその一例です。チームのメンバーが多いと全員からアイデアを引き出し、まとめるのに時間がかかりますが、少人数チームなら素早くアイデアをまとめて行動に移すことができます。

Photo

 さらに、メンバーの「警戒心を解く」ことも重要です。良いアイデアの中には一見、常識外れに思えるものもありますが、「こんなことを言ったら上司がどんな風に思うだろう」といった警戒感があると、せっかくの良いアイデアも埋もれてしまいます。

 こうして出てきたアイデアは、実際にうまく行くかどうかを検証しなければなりません。前述したテレアポの例は、そのまま「仮説を検証する」一例でもあります。「どんな方法でどんな成果が出たかを全員で共有する」というプロセスの可視化をすれば、「方法を変えたときに成果がどう変わったかも見える」ので、そのまま仮説の検証ができるのです。

 このようにして、「問題点の存在に素早く気づき」「問題の解決策を素早く発見できる」チームこそが成果を出せるのです。

 今回紹介したチーム作りのコツは、チームのメンバーが少なく細かいケアができるからこそ生きてくるものです。「成果が出ない」「人間関係がうまくいかない」と悩んでいるなら、ぜひ試してください。

著者紹介:開米瑞浩(かいまい・みずひろ)

IT技術者経験を元に、技術系の複雑な説明書、報告書などを分かりやすく書くスキルを技術者向けに教える研修事業を手がける。「エンジニア向け 図解思考再入門講座」「図解 大人の『説明力』」「ITの専門知識を素人に教える技」など著書多数。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ