何かを話すとき「言いたいことは次の3つです」と事前に明示しておくと、相手は頭の中で引き出しを作り聞く準備をするので、話が伝わりやすくなる。また、分かりやすいだけでなく、頭脳明晰な人といった良い印象を与えることもできるのだ。
本連載は、榎本博明氏著、書籍『心理学者が教える 思うように人の心を動かす話し方』(アスコム刊)から一部抜粋、編集しています。
「お1人さま3個までに限らせていただきます」と言われて、つい列を作って並んだり、本当に必要でもないのに商品を3個も抱えてレジに走ったりしていませんか? 実はこれ「今買わないと損!」と思わせて、お客を殺到させたり商品に飛びつかせたりするための、人の心を操る心理テクニックです。
あるいは「話だけでも聞いてください」と言われて、最初はまったく買う気がなかったのに、気付いたらとんでもない買い物をしてしまった……なんていう経験はありませんか? これは“フット・イン・ザ・ドア”と言われる、思うように人の心を動かす心理テクニックの1つです。
はじめからお願いしたら到底受け入れられない法外な要求でも、いつの間にか受け入れさせてしまう魔法のフレーズなのです。
他にも「どうぞ、お座りください」「そうですか、では……」「お隣のAさんもBさんも」など、人の心をぐぐっと動かすキラーフレーズや心理テクニックは世の中にたくさんあふれています。
誰でもすぐに使えて効果絶大な心理テクニックを本書ではたっぷり紹介しています。ぜひあなたも試してみてください!
会議などで発言する際、
「その件に関しましては、気になることが3つほどあります。まず1つは……」
のように始める人は、用事があって電話をかけてくるときも、
「用件は3つあるのですが、まず1つめは……」
のように冒頭で、話のポイントがこれからいくつ出てくるかを明示する。
こうなると、こちらとしても頭のなかに空の引き出しを3つ用意し、聞いた話を順々にそのなかに整理していけばよいので、非常に分かりやすい。
分かりやすいだけでなく、このような人は頭の中がクリアーに整理された頭脳明晰(ずのうめいせき)な人といった印象を聞き手に与える。
これに対して、だらだらと話し、どこまでが前置きでどこからが本題なのか、どこまで話が続くのかさえ分からないような話し方をする人は、
「いったい何が言いたいのだろう」
と聞き手をイライラさせる。
やはり、コミュニケーションをスムーズに進めるには、
「言いたいことは次の3点です」
「これに関する私の見方を、2つに要約して述べたいと思います」
のように冒頭で明示し、相手が聞く態勢をとりやすいように心がけるべきだろう。
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