次は「重さとデザイン」。これは利用者側の用途や好みに左右されるだろう。特に重さは、バッテリー容量とトレードオフの関係にある。容量が大きいほど、モバイルバッテリーも重くなる。せっかく薄型・軽量タブレットを買っても、モバイルバッテリーが重くなってしまうのでは意味がない。
容量と重さについて完全な法則性はないが、少なくとも2013年8月時点においては「1万mAhのモバイルバッテリーの重量は最低でも250グラム以上」「容量5000mAhに半減しても、重量は半減しない(125グラム以下にはならない)」という傾向がある。7インチクラスのタブレットの重さがだいたい300グラム前後。つまり、モバイルバッテリーがそれなりに重いということは、忘れないでほしい。
また、デザインも持ち歩く際の重要なポイントになる。立方体とフラット型とではカバンやポケットへのおさまりが全然違ってくる。一般的にはフラットな方が、カバンの内ポケットなどに入れやすいとも思うが、これは個人の事情に合わせて選んでみよう。
「バッテリー容量」「出力電流およびUSBポート数」「重さとデザイン」は、モバイルバッテリーにとっての最重要スペック。製品情報サイトやパッケージなどで簡単にチェックできるので、ぜひ覚えておいてほしい。
そして4つめ以降は、各メーカーが少しでも他社製品と差別化すべく、競い合っている部分になる。実際、普段の使い勝手を左右する部分でもあるのだが、その独自性ゆえに「使ってみないと分からない」ところもある。
「充電時間」は、モバイルバッテリーをフル充電するのにかかる時間のこと。基本的には、大容量になればなるほど充電時間がかかる。容量1万mAhクラスの製品では、7〜8時間かかる場合もザラだ。後述するモデルの中には、専用ACアダプターを使うことで充電時間の大幅短縮を図っている場合もあるが、これはまだ少数派だ。
そして「充電回数」。モバイルバッテリーは一般的な充電池と同様、何百回と充電を繰り返すと、いずれ使用できなくなる。そのサイクルが「充電回数」として説明されているわけだ。ただ、この数値は、製品の使い方によっても変動するため、個人的にはそれほど気にしなくてもよいと考えている。標準的なスペックで500〜1000回くらいだ。
「便利機能」については、製品によってさまざまだ。「バッテリー残量をLEDで○段階表示」とか、「1つのACアダプターでスマホとモバイルバッテリーを充電できる」など、メーカー各社がいろいろな機能を搭載している。
「付属品」は、その名の通りだ。モバイルバッテリー用のACアダプターが同梱されているか、持ち運び用ポーチが付いているか、USBケーブルの長さは何センチあるか、といったあたりが比較ポイントになるだろう。
ここからは、実際に発売されているモバイルバッテリーのミニレビューをお届けしよう。カメラ量販店や通販で入手しやすい、大手メーカー製品を中心に4機種を用意した。なお、本稿では「Nexus 7-32T」(2012年発売モデル)との組み合わせで使用感を試した。
項目 | 仕様 |
---|---|
製品名 | CP-F10LSAVP(ソニー) |
価格 | 直販サイト価格8980円 |
容量 | 1万mAh |
出力用USBポート数および出力電流 | 2ポート合計3.6A |
充電回数 | 1000回 |
重量 | 260グラム |
ソニーはさまざまなバリエーション、機能を備えたモバイルバッテリーをリリースしているが、こちらはシンプルなデザインでなおかつ容量を重視した「フラットタイプ」。CP-F10LSAVPは容量1万mAhだが、小容量モデルもある。
厚さ16.5ミリで、凹凸がほとんどないフラット構造が魅力だが、やはり容量1万mAhとなると重さは260グラムに達する。重さが標準的なスマホの2台分近くあり、実際手に取ってみてもかなりズッシリくる。日によって使うか使わないか分からないモバイルバッテリーという性質を考えると、この重みは判断が分かれる部分かもしれない。
使用感は極めてオーソドックス。タブレットを接続し、ボタンを押すだけで給電がスタートする。このあたりは他のモバイルバッテリーとほぼ同じ操作感。出力電流は最大3.6アンペアで、出力用USBポートを2つ備えている。このため、スマホとタブレットの2台同時接続・充電が可能だ。
USB-ACアダプターが付属し、これを使ってモバイルバッテリーをフル充電するのにかかる時間は最大7時間。スマートフォンの充電とくらべるとさすがに長い。ちなみに、標準的なUSBポートと接続した場合は充電に23時間(!)かかる。これは、この製品特有の問題ではなく、1万mAh級のモバイルバッテリーならば当然要する時間なので、お間違えなく。
また、1つのACアダプターだけで、モバイルバッテリーとタブレットを同時充電する機能もある。この際は、ACアダプター→モバイルバッテリー→タブレットという風に芋づる式接続を行う。すべてのモバイルバッテリーが当たり前に備えている機能ではないので、覚えておくといいだろう。
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