続・「あの人ニガテだなぁ」を攻略する方法明日の私を強くするビジネス元気ワード(1/2 ページ)

人の心には「返報性」があることを学びましたが、すべての人間関係に通じることなのでしょうか? それでもニガテな人とコミュニケーションを取るにはどうしたらよいのでしょうか?

» 2013年07月09日 09時20分 公開
[岩淺こまき,Business Media 誠]
誠ブログ

 この記事では、某企業の若手社員「私」の“困った”“悩んだ”を例に挙げ、仕事や物事がより円滑に進むようなコミュニケーションのヒントを紹介します。

 以下、私を自分に置き換えてもよし。私にアドバイスをするつもりで読んでもよし。「ちょっと試してみようか」と思っていただければうれしいです。

 私は現職の人材教育コンサルタント会社で入社3年目の女性社員。学生時代は女子ラクロス部の主将で、基本的には前向きな性格です。仕事にも慣れ自信も付いてきたころ、希望と違う部署に異動になりました。私はややヒューマンスキルが未熟なこともあり、自分とうまく向き合えず、周囲や仕事とうまくかみ合わず、少々悩み気味です。

返報性はすべての人間関係に使える?

 会社近くのとあるカフェ。今ニガテな先輩への接し方について、異動前の部署の先輩からアドバイスをもらった。納得したものの、さらなる疑問が湧いてきた。今のアドバイスは社内の普段接している先輩には使いやすいけれども、顧客や取引先には使えるのだろうか。

先輩 返報性? もちろん、すべての人間関係に使えるよ。接する時には基本的に必要なスタンスだと思うよ

 もちろんそれは分かるんですね。でも、私の場合は威圧的なモノ言いをする人や否定的な人は、顧客でもニガテ意識があるんです。顧客相手だと、返報性だけに重きを置いていると時間ばかりかかりそうで……。

 で、顧客に話を戻しますけども、ニガテな顧客には言いたいことも言えなくなるし、そもそも聞いてもらえないのではないかと思って、ますます言うべきこともきちんと言えなくなってしまうんです。

先輩 顧客との商談や打ち合わせでも、そんな感じなの?

 はい。そういう人がいると、やはりちょっと言いにくいんです。そして同席している人に任せてしまったり、口をはさめなかったりします。発言することもあるんですけど、同席している人から言わせると結局何が言いたいのかよく分からなかったと言われることもあって……。

 先輩はそこまで聞くと、少し黙ってから口を開いた。

先輩 毎度で悪いけど、感じたこと言って良いかな?

 はい! ぜひお願いします!

 私は待ってましたとばかり、前のめりで先輩の次ぎの言葉を待つ。

先輩 言いたいことも言えない、言うべきことも言わない。それは職務放棄になることは分かっているのかな?

 ……。

先輩 顧客との打ち合わせや商談って、あなたは会社の代表として接してるわけでしょ? 何のためにお客様は時間を取ってくれているの? 何か解決したいことがあって、それをよりよい方向で解決したいからこそ時間を取っているんだよね。そのためにその道のプロの人から意見を聞こうとしてるんだよね。

 はい。

先輩 だとしたら、顧客の解決したいことを実現するためなのにもかかわわらず、自分が意見を言ったり質問したりしない行動は何なんだろうね。それは仕事の仕方としておかしいと私は思うよ。

 ……。

先輩 ニガテな顧客の前のあなたは、いわゆる「受け身的」なコミュニケーションを取っているよね。意見を言わないから、一緒にいる仲間に負荷を掛けてしまうんだよ。疲れさせたり、イライラさせたり。

 顧客にとってもプラスにはならないよね。依頼されると断れなくて受けるんだけど、結果的に希望通りのモノが納められないこともある。だから受け身でいることは、仕事をする上では望ましいスタイルではないんだよ。こうなると、もう返報性の最初のスタートが切れないよねえ。

 先輩の言うことは正論で、返す言葉もない。でも。

 「察しの文化」って、良しとされてたと思うんですけど……。

先輩 確かに以前の日本企業は「阿吽の呼吸」的な文化があったとされてるよね。けど、今は違う。やれグローバル社会だ、ダイバーシティだ、と言われてきて、昔と今では状況が違ってきてしまった。お互い経験を積んできた背景も違う、育ってきた文化が違う、いろんなことが違う。

 お互いの常識が違うからこそ、口に出さないことは、伝わらない。だから「それは無理。できない、こうすべきだ、説明して……」と、言うべきことは言った方が親切だし、信頼も得られやすいんだよ。

 ただね、と先輩は続けて言った。

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