話によると、先川さんは説教によって相手が傷付いたり落ち込んだりすることを気にも留めてないようでした。説教を爽快に感じ、ストレス発散にしているのではと感じるほどです。
そんな先川さんに対してはまず謝らないことには始まりません。謝罪を口にすることで説教をストップさせましょう。
ミズーリ大学の心理学者キャサリン・リオダン博士は、きちんとした理由があっても、口答えをするとかえって心証が悪くなる、と言っています。またルイジアナ技術大学のブルース・ダービー博士は、「ごめんなさい」と心から反省して謝罪すれば相手から好意を勝ち取ることができる、と言っています。
そして謝罪をした後は、精神的な辛さを正直に告白しましょう。沈痛な面持ちで切羽詰まった状態を告白されれば、罪悪感で先川さんの爽快な気分は吹き飛び、態度を改めてくれるはずです。
例
先川 お前はほんっっっとに何にも知らねえな!
南 すみません……。何にもお役にたてなくて……。あの先川さん。
先川 ん?
南 正直辛いんです……。先川さんにそういったことを言われるたびに胃がキリキリなって。仕事にも慣れてないのに、ずっと見張られてるような気もして。怖くて仕事も手に付かなくて。もちろん物覚え悪い僕が悪いんです! けど辛くて……。頭では分かってるんですけど、どうしても気持ちがおびえてしまって……。
先川さんの説教に対して「すみません……。お役に立てなくて……」とまずは心からの謝罪をしています。それから「正直辛い」「怖くて仕事にも支障が出ている」ということを正面から伝えています。
しかし一方的に辛さを告白するだけでは先川さんは非難されていると感じ、腹を立ててしまう恐れがあります。そこで「もちろん僕が悪いんです!」と再度謝罪を重ねてから「けど辛くて……」とまた苦しみを吐露しています。この緩急はぜひとも身に付けたいところです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.