実は、最適な順番を考えようとすると、
「Aを理解するためにはその前にBとCが分かってないといけない。だからB→C→Aの順か。あれ? Cを書いてないな。これは足しておこう。それからDは……全部のまとめだから最初と最後の2回書くことにしよう。だから最終的にはD→B→C→A→Dの順で書けばいい」
のような思考が働くようになるんですね。「足りない情報が見えてくる」のと、「概要と詳細が見えてくる」のにはそんな理由があります。
だから、私は「情報を細かく断片化して最適な順番を探す」ことを推奨しています。文書化能力をテーマとする企業研修を行う場合もこのことをしつこいぐらいに何度も強調します。これは本質的には「自分自身の理解を深めるため」に行うことであり、ちょっとした話し方のコツやテクニックではありません。図解をするためにも非常に役に立ちます。
そうして「自分自身が問題の性質をよく分かっていない」問題を解消しておくと、「相手の知識レベルが分からない」問題もかなりの部分が解決します。ぜひ、やってみてください。
以上ここまで、2回に分けてお届けした「どこまで詳しく書くか、記述レベルの見極めが難しい」悩みを解決するヒントが、読者の皆さんのお役に立つことを願っています。
当連載では、「分かりにくい説明書を改善したい」相談を歓迎しております。「改善案のヒントがほしい」例文があれば遠慮無く開米へお送りください(ask@ideacraft.jp )。今回のような連載での紹介は、許諾をいただいた場合のみ、必要に応じて内容を適宜編集したうえで行います。
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IT技術者の業務経験を通して「読解力・図解力」スキルの再教育の必要性を認識し、2003年からその著述・教育業務を開始。2008年は、「専門知識を教える技術」をメインテーマにして研修・コンサルティングを実施中。近著に『ITの専門知識を素人に教える技』、
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