それでは、各ステップごとに事実と心の動きを、なるべく客観的に淡々と描写してみます。今回の参加者は、誠 Biz.IDの鷹木編集長、上口さん、そして中山の3人です。
まずは40個の項目を上から順番に読み進め「これは何か発想できそう」と思った項目にのみチェックを入れていきます。この時点でするのはチェックを入れるだけ。考えるのは後です。何も思い浮かばない場合には潔くパスします。所要時間は5分なので、考える時間は1項目当たり5秒程度。テキパキと進めます。
各項目は「分けよ」「色を変えよ」など短いワンフレーズなので、分かりやすいのが助かります。作業に自然に没頭できますね。
SCAMPER法のときは質問意図で度々悩んでしまったのですが、TRIZ法だと発想に意識を集中させやすいと感じました。もちろん、中にはどうしても理解に苦しむ問いもありますが、パスしてOKと思えば気が楽です。
――5分で全員がチェックを終了。
さて、チェックした数ですが、上口さんが「5個」で私が「9個」。通常だと、40項目でチェック4個、つまり打率1割であれば悪くないらしいのですが、そういう意味では2人とも及第点以上の数を出せました。
ところが、鷹木さんが「30」という桁はずれの量をたたきだし、私と上口さんはあんぐり。
今回に限ったことではないですが、鷹木さんは毎回一番多くアイデアを出します。肩の力が抜けているというか、深く悩んでいないというか、フラットなスタンスで質問に向き合っている印象を受けます。内容は玉石混交ですが(失礼)、ともかく手数を出すその姿勢はあっぱれ。生真面目すぎもせず、かといってふざけてもおらず、ちょうどいい塩梅なのではと傍から見ていて思いました。
対象的に、上口さんはすごくマジメに熟考している様子。度々ペンが止まったり、眉間にシワを寄せたりと、対比が面白く、それが数字に表れているようです。取り組み方に、その人の性格が現れるのかもしれません。
そんなわけで、3人あわせて「44」ものチェックが入りました。
次はチェックを入れた項目に対し、特に制限時間は設けずに各自がアイデアを書き出していきます。
チェック数最多の鷹木さんに合わせて、彼が書き終えるまで待ちます。といっても、かかった時間は10分そこそこ。
「何か発想できそう」とチェック入れたはいいけれど、結局思い付けない……というパターンが続出したらどうしようと心配しましたが、意外にアイデアは出てきてひと安心。44チェック中、最終的に「42個」のアイデアを生み出すことができました。3人でこの数字は上出来でしょう(大半が鷹木さんの成果ですが)。
で、そのまま発表になだれ込みます。
SCAMPERのときと同様、リストの上から「問1でアイデア出た人?」「ハーイ」「次、問2では?」、「パスでしたー」といった具合にリストを消しこみます。くだけた雰囲気を作るために、お菓子(ハッピーターン)をかじりながら、発案者が口頭で説明します。
以下、評価が高かった(盛り上がった)アイデアの一例。
質問項目 | 評価が高かったアイデア例 | コメント |
---|---|---|
反動を先に付けよ | (今の恋人と)別れる直前の男女だけが参加できる | 今現在恋人がいる人たちばかりなので、互いの恋愛経験もそれなりにあることが担保される |
予測し仕掛けておけ | パーティー会場内に「いい感じに仲良くなった男女」が利用できる個室スペースを用意しておく。で、入ったとたんオバケで驚かす仕掛けがある。男性のリアクションを女性は観察できる | 本当の男らしさとは、イザというときに現れるもの |
同じ高さを利用せよ | スポーツ大会形式のパーティー。参加男女で混合チームを組み、バスケットやフットサルの試合をする | チームワーク、コミュニケーション、励まし、団結、喜びを分かち合い、打ち解ける。飲食しながら談笑するより、人柄があらわになる |
逆にせよ | (1)女性からしか告白できない仕組み (2)職場(会社)だけのクローズドなパーティー |
(1)草食男子と肉食女子向け (2)大きな会社になれば、成り立ちそう。運命の人は意外に身近にいるかも |
環境に合わせて変えられるようにせよ | 運営者側が一方的にカップルを決め、強制的にデートの指示を出す | ただデートするだけでは芸がないので、タスクリストを与えても面白い |
振動を加えよ | 気になる異性を運営者に伝えると、運営者が相手の携帯を振動させてくれる | 振動させられた側は、「誰かに気になられている! 誰だろう!?」とテンションが上がってうれしい |
自ら行うように仕向けよ | 誰かに告白するか、告白されるまで帰れない | 自ずと積極的なムードが盛り上がる |
すぐダメになるものを大量に使え | トイレットペーパーで仮装する | ハロウィン的な非日常的仮装もアリ。見た目が変わると、大胆な行動に変わることを期待 |
出なくさせるか、出たものを戻させよ | 参加者には知らされていないハプニングが起きるパーティー。ミステリーツアー的な、何が起きるかは当日のお楽しみ | 見たいのは(相手の)取り繕った姿ではなく、素顔であり、人となり |
アイデアを出し合い、議論を重ねてわかったことは、メンバー全員がいわゆる今どきの婚活パーティーに対して、以下2点の不満を感じていたということ。
よって、出たアイデアもその2点を解消できるものに関連するものが多かったです。
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