ユダヤ人に学ぶ、日本人が生き残る方法【図解】人生の大問題(2/2 ページ)

» 2012年02月09日 11時00分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]
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国がなくても、たくましく生き残る人々?

 「日本を出よう」なんていうと売国奴呼ばわりする人もいるかもしれません。しかし、国がなくてもたくましく生きてきた民族は少なくないのです。例えば、ユダヤ人は、1948年のイスラエル建国まで2000年近くもの間、自分の国というものがなかった。それでも、ユダヤ人というアイデンティティーは強く、それぞれの国に適応してその能力をいかんなく発揮してきました。

 ハリウッド俳優やミュージシャンであれば、ウィノナ・ライダー、レニー・クラビッツ、ボブ・ディラン、ウディ・アレン、ハリソン・フォード、マイケル・ダグラス……。それにユニバーサル、パラマウントといった映画スタジオの創業者たち。

 事業家ではデルのマイケル・デル、オラクルの創業者ラリー・エリソン、マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEO、インテルの創業者アンディ・グローブ、ラルフ・ローレン、リーバイ・ストラウス、ダナ・キャラン、エスティ・ローダー、チャールズ・レブロン。

 投資家では、ジョージ・ソロス、SGウォーバーグ銀行の創業者ウォーバーグ卿、金融ニュースのブルームバーグ。学者であれば、アインシュタイン、ジークムント・フロイト、コンピュータの生みの親フォン・ノイマン、インターネットの発明者。実に多くのユダヤ系民族が世界で活躍しています。

 ノーベル経済学賞に至っては、過去の受賞者のうち実に40%がユダヤ人です。世界人口のほんの0.02%しかいない民族がノーベル賞の4割を占めるなんて、同じ人間なのか、と疑問をもってしまうかもしれませんね。

 しかし、ユダヤ人が特別な能力を持っているわけではありません。ただ、彼らは国というプラットフォームを持たなかった。国に頼ることができなかったから、自衛のために、自分の能力を磨き、住んでいる国でのプレゼンス(存在感)を高めてきた。生き残るために、自分自身の価値を高めることに尽力してきた。だったら日本人も、そうあるべきだと思います。

本当に安定を求めるのであれば、それはあなたの「中」に

 私が『人生の大問題を図解する!』で伝えたいのは、日本が沈没するかどうかではないのです。日本がどうなろうが、世界がどうなろうが、たくましく生きていける日本人になるべきだ、ということです。

 あなたが本当に安定した生活がしたいのであれば、それは国や企業に求めるのではなく、あなたの中に求めるべきだ。そう、思います。

 政策や景気に文句を言っても始まりません。しかし、自分自身が、どのような環境でも生きていける自信を身に付けていれば、今の日本をとりまく「どよん」とした空気が一掃されるのではないかと思っています。私は、そのための「小さな変化」をあなた自身の中に起こすことを目的に筆をとりました。いわば「生き残る技術」です。

日本人のための「生き残る技術」

 生き残るなんていう扇情的な印象を持つ人もいるかもしれませんね。しかし拙著で伝えたかったのは、日本が危ないから逃げ出そうとか、日本政府に不満をぶつけるようなことではないのです。日本というプラットフォームに対して、自立した自分を創り出すことが目標です。

 プラットフォームとは、社会やある仕組みを動かすための基盤となるものです。ですから、日本というプラットフォームに過度に依存した状態では、プラットフォームの浮沈に自身の人生まで左右されてしまいます。いったんプラットフォームに従属してしまうと、プラットフォームの横暴にも従わざるをえません。

 だから、プラットフォームからなるべく独立する、あるいはプラットフォームが変わっても落ち着いて自分の人生を歩んでいける指針と計画性が必要です。そのための、はじめの一歩を踏み出しませんか?

 逆境の中でも前向きに、不屈の精神で復興に取り組む姿、そして震災の中で光る日本人の秩序、道徳、譲歩の精神は、海外メディアでも大絶賛していました。私自身も、日本人は忍耐強さやまじめさ、高い技術力は諸外国と比べても比類ない強さを持っていると思います。そんな素晴らしい日本人だからこそ、どんな世界になろうとも生き延びなければいけない、そう思います。

 日本人の生き残り計画は、私たち自身が各自で計画し、実行しなければなりません。そのための残り時間は極めて少ないのです。

 さあ、そのスイッチを今すぐ押してください。

集中連載『【図解】人生の大問題』について

『人生の大問題を図解する!』 『人生の大問題を図解する!』(永田豊志・著、光文社・刊、四六判/251頁、本体1524円)

 本連載の内容は、2011年12月に発売された『人生の大問題を図解する!』をもとに作成しています。

 「図解思考」シリーズでおなじみの著者・永田豊志が、これから始まる“とんでもない未来”に、私たち日本人が生き残るための「5つの戦略」を、豊富な図解で解説します!!

 本書は、これから生き延びていくために重要な5つのテーマ、すなわち「お金」「英語(語学力)」「仕事」「家族」「思考力」のそれぞれについて、ショートストーリー、関連データ、アクションプランの3部立てで図解し、一緒に考えてもらう構成になっています。

 「何となく危ないのは分かるけど、本当のところはよく分からない」という問題も、できるだけ分かりやすく描いてみました。 (冒頭の挨拶文より)


目次

  • プロローグ:「日本沈没」に負けないチカラ
  • 第1章:「お金」を生み出す源泉はどこに?
  • 第2章:本当に「英語」が必要なんですか?
  • 第3章:「仕事」の死は突然やってくる?
  • 第4章:「家族」はどこへ消えた?
  • 第5章:「思考力」次第でエリートになれる?

著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)

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 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』『ノート・手帳・メモが変わる絵文字の技術』(中経出版刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com

Twitterアカウント:@nagatameister


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