フレームワークは目的やテーマによって非常に多種多様なものが存在します。一見すると、量が多すぎて収拾できない印象がありますが、見た目のカタチで分類すると、おおむね次の6つにパターン化されているようです(図2参照)。
例えば、代表的なフレームワークのカタチである2×2のマトリックス型では、要素を2つの変数で分解することを目的にしています。分解することで、各要素の中にさらにどのような要素が含まれているかを明確にできます。また、フロー型のフレームワークでは、全体の流れと各プロセスの関係を示すことによって、仕事の流れなどを分かりやすく可視化することができます。ポイントはこうしたカタチの特徴に着目して、用途に応じて適切なフレームワークをチョイスできるようにすることです。
実際の使い方としては、「新しいプロジェクトの改善方法とアクションプラン」というテーマなら、PDCAのサイクル型の図を頭に思い浮かべながらメモをとっていくという具合です。適切なフレームワークを選んで図解通訳すれば、ヌケやモレがすぐに判明しますから、効率のよい議論ができます。
さまざまな形があるフレームワークですが、どれもがもとを正せば、基本パターンである四角形と矢印の発展形であることが分かります。例えば、ツリー型は基本編で学んだ分岐するバリエーションと同じですし、マトリックス型もグループ分けの延長上にあたることが理解できると思います。基本パターンさえ押さえていれば、いくらでも応用が利くというのはそうした理由からです(図3参照)。
フレームワークの代表的な形が、実は基本パターンの延長にあり、発展形であることは前述した通りです。ですから、実際の図解通訳では、基本パターンを描きながら、要所要所で目的に応じたフレームワークを使って補完させるとよいでしょう。フレームワークは図解通訳の強力なサポート役です。フレームワークだけで完結させるのではなく、全体の構成の中で、より情報を的確に分析、伝達するための助っ人として使いましょう。
サンプルの図解を見ながら解説しましょう。例えば図4は、店舗Aから顧客Bまで商品Cを配達する、という図解通訳です。AからBにCを送るという基本パターンで表現されています。ここで、店舗Aにおける商品分類を入れることになったとしましょう。いろんな軸が考えられますが、例えば横軸は用途で分けるとして「個人用なのか業務用なのか」、縦軸は価格を軸に「低価格か高級品か」で分類し、該当する商品をマッピングするとします。2つの軸で分類するので、マトリックス型が最適です。
次に、これらの商品を販売する店舗Aの組織構造に話がおよんだとします。組織図はツリー型で描きます。同様に、配達手順を示すのであれば、業務フロー図、その改善サイクルを検討するのであればPDCAサイクル、月別の販売額の推移であれば時系列グラフ、と目的によって追加でフレームワークを書き込んでいきます。できあがった全体図からは、いろんなことが読み取れます。図解通訳によって問題の「発見→原因→解決」の道筋が見えてくるのです。
フレームワークは、主にロジカルシンキングをサポートし、短時間で本質にたどりつくための有効な思考ツールです。絵文字と同様、すべてを覚える必要はありませんので、自分の仕事や役割に合ったものをチョイスして、図解通訳時に使えるようにしておけば問題ありません。
さて、次回からは、商談、プレゼン、アイデア出しなど身近なビジネスシーンをとりあげて、実際に図解通訳を行ってみたいと思います。題材のリクエストなどがあれば、編集部までお送りください。チャレンジしてみますので。それでは、また!
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
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