解説編 チームだから、リーダーだからできることを考える大口兄弟の伝説(1/2 ページ)

ビジネス小説「大口兄弟の伝説」編の解説です。ストーリーでは、営業パーソン各員の努力もさることながら、チームやリーダーの活躍が目を引きました。みんながいるからできること、リーダーだからできること――とは一体なんでしょうか。

» 2009年02月12日 16時00分 公開
[森川滋之,ITmedia]

 「大口兄弟の伝説」編の解説も最終回となりました。

 前章「震えるひざを押さえつけ」編では、どちらかというと営業パーソン個人としてのテクニックや心構えについての解説が多かったのですが、「大口兄弟の伝説」では、営業チームや営業リーダーとしての考え方を中心に解説します。

 今回は「大口兄弟の伝説」編の第6話「いったい、いつの間に」、最終話「これからもよろしくな」について説明します。

チームだからできること、リーダーだからできること

いったい、いつの間に

 これは人間関係ができている、よくやった。和人は2人を抱きしめたい気持ちだった。

 人間関係ができていることは、営業にとって最も重要なことの1つですが、和人は「2人を抱きしめたい」ほどうれしく思いました。

 これはなぜでしょう。

 竹田食品が契約してくれるかどうかで営業所の存続は決まりますが、月末まで残りわずか。谷課長には少々無理を言わないといけない局面だったからです。友達に近いぐらいの人間関係がないとできない――というわけだったのですね。

いったい、いつの間に

 和人は、もはや成約を確信していた。この資料のボリュームを見ただけで、どんなに意地悪な部長でも認めざるを得ないだろう。

 提案は、質より量でもないし、量より質でもありません。質も量もです。

 これは、質のいい資料を大量にという意味ではありません。それが理想ですが、提案の期間・コスト・労力も考えなければなりません。

 提案書は、最初の数ページ(目安です。全体の分量から判断してください。ただし、思っているほどページ数はありません。どんなに大きな提案でも全体の5%以下と考えて間違いないでしょう)でほぼ勝負が決まります。この時点でお客様の課題に回答していない提案書は、その時点で見てもらえません。質という意味では、最初の数ページにまず注力しましょう。

 それ以外は、できるという根拠です。ここは多ければ多いほどいい。また、多ければ多いほど本気だと思ってもらえます。逆に言うと、そのほかは誤字脱字、数字の間違いがないかなどをチェックすれば十分な品質と言えます。

 和人のすばらしいところは、ほかのチームでも再利用可能な資料を貯めておける体制を作っていたことです。この提案のためにチェッカーは大量の資料を作りましたが、ファイル5冊分も新規に作ったわけではありません。今までロバさんチームや仲良しチームのために作った資料もかなり再利用されているはずです。

 質は個人の力に負うところが多いのですが、量はチームの力です。

いったい、いつの間に

 和人は、帰り際に決裁者を確認した。部長の上は、担当役員だけらしい。これは間に合うかもしれない。

 営業リーダーであれば当然のことですが、メンバーは忘れがちです。あなたがリーダーであれば、部下に決裁ルートの確認を指示しましょう。

 営業もプロセスですから、期限があります。2年越し、3年越しという営業案件もありますが、それはそれで構わないという判断があってしていること。決裁ルートが分かっていないと、どのぐらい決裁に時間がかかるかまったく見えないので、計画の立てようもありません。

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