映像の最適化について詳しく見ていこう。
例えばWeb会議では、送信する側が、受信する側のPC環境に合わせて、送信データ量を自分で調整する必要がある。受信先のPC環境によっては大量の映像データを処理できない場合があるからだ。
また、テレビ会議システムでは、多地点から送信された各映像を、Web会議システムのように各々の映像として処理するのでなく、MCUが自動的に1つの映像に統合する。そしてデータ量を抑えた映像を受信側に送るのだ。ただ、この場合はMCUの処理が遅れると映像が遅延してしまう。
送る映像データは、送信先の中で最も低スペックのPCに自動的に合わせる。その結果、高スペックのPCにも粗い映像が届く、という事態が起こってしまう。本来ならば、以前取り上げた国内文具メーカーのように、高精細な映像で製品の詳細を詰めるような会議もできたはず。
Vidyo Routerでは1280×720ピクセルの画像を毎秒60コマ送付できる。「従来のテレビ会議システムと同水準」(栢野さん)の映像画質だが、例えばPCには高画質の映像を毎秒40コマ送り、携帯電話には低画質の映像を毎秒15コマ枚しか送らない、といった具合に、CPUやHDDの空き容量など、受信側の環境を自動的に判断して、2チャンネルのうち最適な映像を選んで送信する。つまり、受信側がどんな環境でも、その環境に見合う映像データを選んで自動的に送ってくれる。
映像を利用する会議でありがちな、カクカクした映像も防いでくれる。
通常のシステムでもパケットロスがない時の映像は、1コマごとの軌跡を自動的に予測して、動いている部分だけを補正し、自然で滑らかな動きに見えるようにしてある。ところがパケットロスが2〜3%生じると、この補正機能が働かなくなる。そのため、映像がカクカクしてしまう。
Vidyo Routerではこの問題も映像の2チャンネル化で解決した。例えば高画質映像のチャンネル内のある映像をロスした場合、低画質映像のチャンネル内で、ロスした映像に近い映像を自動的に送り、ロスした映像を補う。つまり互いのチャンネルで、互いの欠けた映像を補完し合っているのだ。このため20%のパケットロスまでなら、映像がカクカクにくくなったのだ。
なお、ポリコムの低価格モデルであるテレビ会議システム「HDX7001」(129万3600円)、「HDX7002」(162万7500円)では、独自技術「LPR(Lost Packet Recovery)テクノロジー」を駆使。パケットロスによって損失した映像を再現することで、ロス10%までの“カクカク画像”を防ぐという。
たびたびエラーが起きていては会議が滞る。使う側にはかなりストレスだ。エラーが起こりにくいか、という観点からも会議システムを見定める必要がありそうだ。
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