“カクカク映像”のストレスを減らす――H.264/SVC採用の会議システムとは?目的別に使いこなす「遠隔会議システム」、導入と活用ポイント(1/2 ページ)

会議中に映像が止まったりカクカクした画像になったりすると、ストレスだ。最新規格H.264/SVCを採用した新世代の会議システムでは、このストレスを大幅に軽減してくれそうだ。その仕組みとは?

» 2008年10月31日 17時50分 公開
[豊島美幸,ITmedia]

 社葬中継サービスなど、会議以外にも用途が広がる遠隔会議システム。大きくテレビ会議システムとWeb会議システムに分けられる。場所を選ばない働き方を取り入れる企業では、自宅作業時はWeb会議システムを、出社時はテレビ会議システムを使うといったように、両システムを使い分けているようだ。

最新会議システムは「専用端末×一般のインターネット回線」の組み合わせ!?

 ここで改めて、テレビ会議システムとWeb会議システムを定義づけてみよう。

 遠隔会議システムを扱う販売代理店のVTVジャパン代表取締役、栢野正典(かやの・まさのり)さんによると、一般的にテレビ会議システムとは、H.323に準拠したMCU(多地点会議システム)という専用端末を使う会議システムをいう。

 H.323とは、ネットワーク上で音声動画などのマルチメディア通信を行うための規格だ。テレビ会議システムにもWeb会議システムにも採用できる共通規格となっている。

 テレビ会議システムではネットワークに専用回線を敷けば、安定した通信ができる。ただし端末や回線が専用なため、数百万円かかるなど高コストになりがちなのが欠点だ。また、回線は一般のインターネットを介しても使えるが、この場合はネットワークの制御機器を使うなどで帯域を確保するか、帯域保証する契約を結ぶのが望ましい。

 一方、Web会議システムとは、一般のインターネットを介してPC端末のブラウザ上で行える会議システムをいう。端末も回線も専用ではないからコストを抑えることができるが、専用回線を敷いていないため、通信が不安定になりたちなのが欠点だ。

 低コストのWeb会議システムと高コストのテレビ会議システムの中間に位置する、100万円台の価格帯の会議システムが米国のVidyo(ヴィディオ)やポリコムから登場している。

 10月に発売したばかりのVidyo製の会議システムは、「これまでの会議システムの欠点を解消し、利点を生かした」(栢野さん)ものだという。価格は25拠点で使用する標準タイプで155万5155円から用意しており、Web会議システムと比べれば高価だが、数百万円かかるテレビ会議システムに比べれば低コストである。対応OSはWindows XP/Vista。2010年にはMac対応予定。

Vydeoの会議室のトップ画面

 Vidyoの会議システムの特徴は、新規格のH.264/SVC(Scalable Video Coding)を採用したMCU「Vydeo Router」を使っている点。H.264/SVCとは、送信する映像を受信側のCPUなどPC環境に自動的に合わせ、最適化した映像を送信するための規格だ。そしてH.264/SVCの採用により、専用回線を使わなくても「テレビ会議システムより安定的な通信」(栢野さん)を実現した。

 つまり、Vidyoの会議システムは、テレビ会議システムのように専用端末を使いながら、Web会議のように一般のインターネットと介した手軽さを兼ね備えていて、安定的な通信ができるのだ。

高画質と低画質、映像の2チャンネル化でエラー耐性アップ

 H.264/SVCの特徴「映像を最適化する」とは何を指し、最適化すると何がいいのだろう。これには映像のチャンネル数と関係がある。

 H.263やH.264/AVCなど既存の規格では、映像は1つのチャンネルに収まっているが、新規格のH.264/SVCでは2チャンネル。1チャンネルには高画質の映像が、もう1チャンネルには低画質の映像が、それぞれ収まっている。この2チャンネル化により映像を最適化し、エラー耐性を高めているのだ。

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