サラサラ粉末? 完全密封? 水なし処理の非常用トイレあれこれ「いざ」への想定力が決め手、企業の震災対策&グッズ(2/3 ページ)

» 2008年09月09日 19時42分 公開
[豊島美幸,ITmedia]

1カ月悪臭を抑える――小は固めて大は消臭、すぐ使える手軽なトイレ

薬剤1つで消臭・静菌・排泄物の固形化の3役こなす「スケットイレ」

 1995年の阪神・淡路大震災から2年ほど前、1993年の発売以来15年間、官公庁などに使われ続けているロングラン商品がある。ニッソウ樹脂の「スケットイレ」(成人1日分で2730円〜)だ。


 便器に取り付け、排泄物を直接入れるポリ袋、排泄物に振りかけるおがくず入り薬剤、ポリ袋を縛るひも、ポリ袋を入れる外袋でセットになっている。

 持ち運びができ、すぐトイレにセッティングして使える手軽さに加え、消臭・静菌(菌を増やさないこと)・排泄物の固形化――という3つの効果を1つの薬剤でまかなえてしまう簡便さが特徴だ。針葉樹をブレンドしたおがくずが水分吸着と消臭を、独自の薬剤成分が静菌と消臭をそれぞれする。


 使い方はこうだ。便器にポリ袋をセッティングしてから排泄する。排泄したら薬剤を振りかける。ポリ袋の口をひもで閉じ、さらに紙製の外袋に入れる。

 これで1カ月は匂わないという。そして、最後は袋ごと可燃ゴミとして処理すればいい。

 なお同社では、スケットイレの消臭・静菌効果を調べるため、女性の研究員が実際に自分の排泄物で1カ月間、実験した。

 実験では排泄直後、スケットイレ未使用時はすでに悪臭がするのに比べ、スケットイレ使用時は悪臭の元となるアンモニア、硫化水素、アミン類、メルカプタン類などの量が微量で、ほぼ匂わなかった。

 スケットイレ未使用時は、排泄から時間が経過するに従い悪臭が増すのに比べ、使用時はどれだけ時間が経過しても、悪臭元の量が排泄直後の量と全く変わらなかった。大腸菌に至っては、排泄直後は微量で検出されたが、1カ月後は検出されなかったという。

消臭・抗菌スプレーを生活全般にまで使える「水・不要せいけつさん」


 排泄物を薬剤で固める――という発想は、スケットイレと同じだが、消臭・抗菌効果のあるスプレーを付けることで、トイレ以外の生活全般の衛生面を向上させよう――という商品がある。イワツキの「水・不要トイレせいけつさん」(1回分350円〜)だ。やはり10年以上のロングラン商品である。


 こちらの使い方はほぼスケットイレと同じだが、排泄後に振り入れる薬剤は、固形化する役目のみの高分子吸収ポリマー。消臭と抗菌には、付属の「SS-P3」というスプレーを一緒に吹きかけて使う。陽イオン系の界面活性剤が抗菌を、大豆・米・麦などの穀物エキスが消臭補助する。

 写真は10回分セット(3000円)で、150ミリリットル入りのSS-P3が1本付いている。イワツキによると、1回の排泄当たり10ミリリットルも吹き付ければ十分だという。排泄10回で、仮にSS-P3を100ミリリットル使ったとしても、あと50ミリリットルは残る。

 こうして残った分は、被災時のあらゆる生活抗菌に使う。薬剤に加えてスプレーまでするのは少々わずわらしいが、用途がトイレだけでなく被災時の生活全般にわたる――という点で相殺できそうだ。

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