では、「環境トップランナープラン」策定後の取り組みはどのようなものだろうか。このプランは活動の幅をさらに広げていくため、社内の環境リテラシーの向上を狙い、環境先進企業としての確かな土台を築こうとするもの。
2006年には部署ごとの業績評価に、プラン目標を反映したものが加わり、これにより環境への配慮がボーナスに影響するようになった。また、オフィスでは省エネや紙資源の使用量削減に努めることなどを各部署でテーマアップしてもらい、行動を促している。本社ビルも「ゼロエミッション委員」を各フロアに設置して、リサイクルよりまずはゴミを出さない「リデュース」を呼び掛けてもいる。
さらに特筆すべきは、2007年、同グループの社員の子供たちが世界9カ国から集まり「子どもエコサミット」を開催し、ここから昼休みのオフィス消灯が提案されたことだ。そして今年4月1日からは、グループ全体で「世界一斉消灯キャンペーン」が実施されるようになった。環境を考える上で、次世代教育は重要な課題となる。同グループでは環境への理解を促進する冊子を学校などに寄贈する活動も続けている。
また、「地球に影響を及ぼすCO2は、現時点で削減目標を達成できていてもさらなる工夫が必要だと考えます。そこで、設備投資推進策として、CO2削減試算でトン当たり6000円を本社が支払う『社内排出権取り引き』を始めています。今年7月から8月にかけては当グループの世界中のオフィスと家庭を対象に『エコスタイルコンペ』を開催する予定で、エントリーを募ろうと考えています」と桶谷さんは話す。
環境トップランナーを目指す積水化学グループの発想力と実行力はとどまるところを知らない。だからこそ、これまで策定した中期目標で確実に実績を残すことができたのだろう。今後の活動にも期待がかかる。
「環境の取り組みに関するキーワードは、“徹底すること”です。仕事では環境に直接かかわらない人にも活動を身近に感じてもらうためには、実際に動いてもらうこと。また、周囲を巻き込んで草の根的な活動を続けるとともに、トップダウンも必要です。何をやればいいか迷うなら、まずは身近なゴミの分別やゼロエミッションの運動を通じて意識の定着を目指すことが早道ではないでしょうか」と、桶谷さん。1人ひとりの意識付けは同社のこれからの課題でもある。
『月刊総務』2008年6月号 特集「環境をどう守る? 企業のエコ対策2008」より
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