Biz.ID コラボレーションツールとしてのAcrobatの利用状況については、どのように考えていますか?
米澤 1つのファイルに複数人が注釈コメントを付けるというのは、Acrobat 6や7の頃からできたんですが、その頃はユーザーの10%ほどしか機能を利用していなかったんです。それが、8あたりから30%程度にまで拡大してきました。
山本 以前、北米とヨーロッパと日本でユーザーリサーチをしたことがあります。そのときに分かったことは、ユーザーがAcrobatを選ぶメインの理由は、もうPDF作成にはない、ということです。PDFフォームを使って効率的に情報収集したいとか、共有レビュー&コメント機能を使いたいからとかいった理由が、多くを占めるようになってきました。完全に市場はPDF作成から次に移ってきているなというのが、この1〜2年での実感です。
小圷 弊社主催のPDF活用セミナーでも、やはり皆さんコラボレーション機能に関心を持たれることが多いです。セミナーで実際にお話している内容として、例えば日本アムウェイさんの事例があります。日本アムウェイさんは年間に100種類くらいのパンフレットを作っていらっしゃるのですが、Acrobat導入以前は、いちいち何十部もカラーコピーを取って、試作品を社内に配布していたんです。受け取った人は手書きでコメントを付けて、今度はそれをまた集めて、という煩雑な作業が毎回行われていたわけですね。Acrobatの共有レビュー機能を利用することで、レビュー期間そのものも短縮できたし、カラーコピーのコストも削減できた、という事例です。
Biz.ID Acrobat 9のキーワードを一言で言うと?
山本 基本メッセージとしてあるのは「つたえる、を、あたらしく」。やはりコラボレーション、コミュニケーションをいかに円滑にするか、ということに重点を置いています。今までのPDFというのは、あくまでも最終フォーマットで、安全ではあるけれど(完結していて)動かすことができないものでした。でも、今回のポートフォリオで「ああ、PDFってこんなにも豊かな表現ができるんだ」ということを伝えられると思います。それも、受け手が理解しやすいような形で。
鈴木 多くの人にとって、今までのPDFって「紙と同じものを電子化して見られる」というだけのイメージだったと思うんです。今回はそこに、電子的なドキュメントだからこそできる表現というのが付け加わっています。
山本 PDFというのは、プラットフォームだと思っています。ReaderとAcrobatさえあれば、情報の整理もできるし、フォームでの情報収集もできるし、他人とのコラボレーションもできる、という。今回の9で、オフィスドキュメントやPDFの概念が、ものすごく変わるような気がしているんです。
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