コンセプトを大転換した新型ベンツAクラス、街や峠で実力を試した試乗インプレッション(3/5 ページ)

» 2013年03月25日 08時00分 公開
[吉村哲樹,Business Media 誠]

積極的に踏んでいくアクセルワークが必要

Aクラス

 今回試乗したモデルは、ベーシックグレードの「A180 ブルーエフィシェンシー」。搭載される1.6リッター直列4気筒直噴ターボエンジンのスペックは最高出力90キロワット(122馬力)/5000rpm、最大トルク200ニュートンメートル/1250〜4000rpm。これに7速デュアルクラッチトランスミッションが組み合わされる。

 このほか、現時点で日本国内に導入したグレードには、同じパワートレインに各種スポーツ装備を搭載した「A180 ブルーエフィシェンシー スポーツ」、そして2リッターエンジンを搭載する上級モデル「A250 シュポルト」がある。

Aクラス

 また、走行モードは「E(エコノミー)」「S(スポーツ)」「M(マニュアル)」の3つの中から選択できる。Mモードはパドルシフトを使ったセミマニュアルモードなので、ATとしてはEモードとSモードの2種類ということに。エンジン始動直後には必ずEモードになっているので、街乗りにはEモードを前提としているのだろう。

 コラムシフトを操作してDレンジに入れ、そろそろと走り出す。「ん、なかなか進まないぞ……」。アクセルを踏み込む量と、実際の加速との間に、かなりギャップがある感じだ。発進時に何気なくアクセルをゆっくり踏み込むだけでは、なかなか思いどおりの加速が得られず、前を走るクルマに置いていかれそうになる。MTミッションでの2速発進の感覚に近いだろうか。それではと、思い切って多少深めにアクセルを踏み込んでみると、「お、ちゃんと走るじゃないか」。

AクラスAクラス
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 Eモードで街中を快適にきびきび走るには、多少コツが要るようだ。異なるアクセルワークをいろいろと試しながらタコメーターの針の動きを確認してみたところ、「そろっ」と踏んだ場合には、2000回転前後でとんとんとシフトアップしていく。エンジンのカタログスペック上では、1250回転で早くも最大トルクを発生するとあるが、感覚的にはトルクの盛り上がりを感じるのは2000〜2500回転あたりから。つまりゆっくり踏む分には、パワーバンドに入ることを徹底的に避ける「とことんエコ」なセッティングになっているようだ。

 一方、多少思い切って「ぐいっ」と踏み込んだ場合には、もう少し上まで回るので、必要十分な加速が得られる。そして、さらに思い切って一気に床まで「ドン!」と踏み切れば、「おお、なかなか速いじゃないか」。高速道路での追い越しや合流など、急加速が必要な場面でも、一気に踏み切れば十分以上のパワーを得られる。この「そろっ」「ぐいっ」「ドン!」という3段階のアクセルワークを意図的に使い分けるコツを覚えてからは、頻繁にストップ&ゴーが連続する街中でも、比較的快適にドライブできるようになった。

 いずれにせよ、一般的な国産車よりはかなり積極的に踏んでいくアクセルワークが要求されるようだ。幸い、新型Aクラスのアクセルペダルは、一昔前のメルセデスの重いアクセルと比べればはるかに軽いタッチになっているので、足首に疲労を感じるようなことはないだろう。もっとも、積極的に踏んでいくとなると、せっかくのエコモードなのに実際にはあまりエコな運転にならないところが、ジレンマといえばジレンマか……。

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