iPhoneとつながる、記念モデル続々――G-SHOCKは30周年でどう変わる?カシオ秋冬新作ウオッチ展示会2012(1/4 ページ)

» 2012年10月18日 17時25分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 1983年4月に発売され、2013年4月に30周年を迎えるカシオ計算機の男性向けウオッチ「G-SHOCK」。これから冬にかけて同社の各ブランドラインアップから新作が発表・発売されるが、今シーズンの主役はなんといってもG-SHOCKだ。

 今シーズンの新作を見渡すと、G-SHOCKの大きなテーマは3つある。1つはiPhoneなどスマートフォンにつながるBluetooth対応のモデル。2つ目はG-SHOCK30周年を記念したスペシャルモデル。そして3つ目は、さまざまなブランドとコラボレーションしたモデルである。

 落としても壊れない、耐衝撃性の高い腕時計としてG-SHOCKが登場してから30年。G-SHOCKはこれからどう進化していくのか? 本記事では、9月上旬に行われたカシオ計算機の発表会で取材した内容を中心に、2012年秋冬発表の最新モデルを紹介する。

iPhoneやAndroidとG-SHOCKがつながる

 会場で多くの来客の注目を集めていたのが、iPhone 4S/5とつながるG-SHOCK「GB-5600AA」「GB-6900AA」だ。

「GB-5600AA」「GB-6900AA」

 なぜ、スマートフォンとつながるG-SHOCKが登場したのだろうか? カシオ計算機の時計事業部長である増田裕一取締役はこう説明する。

 腕時計業界では長らく、ゆるやかではあるが市場が縮小し続けていることが問題になっていた(参照記事)。理由の筆頭は、90年代以降携帯電話の普及に伴って進んだ“若者の腕時計離れ”である。「携帯電話で正確な時間が分かるから、腕時計は要らない」という人が増え、ファッション性を求めない人は腕時計を着けないという傾向が進んだのだ。

 その中でカシオが長い時間をかけて取り組んでいたのが「携帯電話と腕時計をつないだらいいのでは?」というアイデアの実現だった。赤外線やBluetoothなど、携帯電話と腕時計をつなぐためにさまざまな通信技術を研究・検討してきたが、最大の問題が「電池のもち」(参照記事)。ユーザーが毎日充電してくれる携帯電話と違い、腕時計の電池は1年以上もって当たり前。その基準で考えると、腕時計としての使い勝手を損ねることなく、「携帯電話と通信できる腕時計」を実用化するのは非常に難しかった。

 大きな転機となったのが、低電力で通信が可能になるBluetooth Low Energy規格の実現と、対応するスマートフォンが登場したことである。

 スマートフォンにつながる、Bluetooth搭載G-SHOCKとして初めて登場したのが、2012年3月発売の「GB-6900」(参照記事)だった。GB-6900はAndroid端末「MEDIAS PP(N-01D)」「MEDIAS LTE(N-04D)」「IS series MEDIAS BR IS11N」「MEDIAS CH SoftBank101N」のみの対応で、発売後にもっとも多かった反応は「iPhoneにはつながらないの?」だったという。

 10月に発売されるiPhone対応のG-SHOCKは2モデルある。GB-5600AAは初代G-SHOCKを連想させる四角いフェイス。一方GB-6900AAは米国を中心に人気の高い丸いフェイスデザインとなっている。

 基本的な機能は共通だ。耐衝撃性や防水に優れたデジタルウォッチ、という基本線は崩すことなく、どちらも「G-SHOCK+」アプリをインストールした対応スマートフォンと連動して利用できる。具体的には、携帯に着信があったりメールが来たりしたときにG-SHOCKに表示やバイブで通知される機能や、スマートフォンをなくしてしまったときに、G-SHOCKを操作してスマートフォンを動かし、探すことができる機能、タイムゾーンが異なる国や地域に移動したとき、スマートフォンが受信した時刻情報を受信し、G-SHOCKが自動的に時刻補正ができる機能などを備えている。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.