フィットEVが世界最高の電費を達成する上で、新開発の電動サーボブレーキシステムの貢献も無視できないものがある。この電動サーボブレーキシステムは、ブレーキペダルを押し込んだときの感覚をドライバーに感じさせるペダル操作部と、油圧ブレーキを働かせるブレーキ動作部から構成される。ペダル操作部とは独立して動作するブレーキ動作部は、ブラシレスモーターと減速ギア、ボールねじにより、高精度な液圧制御と素早い応答が可能である。
この構成により、ブレーキエネルギーを電力に変換できない油圧ブレーキの動作範囲をできる限り減らすことに成功した。具体的には、ブレーキ動作時にモーターで発電する電力の量は、一般的な油圧ブースター式の回生ブレーキと比べて約8%向上している。さらに、回生ブレーキと油圧ブレーキの配分が変化する場合でも、ドライバーに違和感を感じさせない自然なブレーキフィールも実現できているという。
シートやドアライニングの表皮には、サトウキビ由来の原料を全体の30%使用するバイオPETを採用した。このバイオPETの原料は、サトウキビから砂糖を取り出した後の残渣(搾りかす)から製造しているので、食糧品と競合しない。価格は、石油由来の原料を使用するPETの1.3倍になるものの、PETボトルなどからリサイクルした原料を使うリサイクルPETが同2.5倍になるのと比べて安価である。さらに、リサイクルPETよりもデザイン自由度が高く、質感も良好である。
この他、エアコンの冷媒として日本で初めてHFO(ハイドロフルオロオレフィン)-1234yfを採用した。HFO-1234yfは、現在一般的に利用されているHFC(ハイドロフルオロカーボン)-134aよりも、地球温暖化係数を350分の1以下に低減している。ホンダは、フィットEV以降のエコカーにも、HFO-1234yfを順次採用していく予定だ。
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