テスラのEV「モデルS」の換算燃費は「リーフ」の1割減、電池容量は3.5倍

» 2012年06月22日 18時50分 公開
[朴尚洙,@IT MONOist]
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 米国環境保護局(EPA)は2012年6月21日(米国時間)、Tesla Motors(テスラモーターズ)が6月22日から米国顧客向けの納車を開始するセダンタイプの電気自動車(EV)「Model S(モデルS)」の換算燃費を公開した。

テスラ Model S(画像をクリックすると拡大します)

 EPAは、EVと内燃機関車の燃費を一般消費者が比較しやすいように、EVが1マイル当たりの走行で消費する電力の量をガソリンの消費量に換算した換算燃費を公表している。モデルSの換算燃費は、市街地と高速道路を組み合わせて走行する複合モードで89MPGe(マイル/ガロン相当)となった。国内で燃費として使われているガソリン1リッター当たりの走行距離で表わすとリッター約37.8キロとなる。

 これは、日産自動車の「リーフ」の99MPGe(リッター約42.1キロ)という複合モード換算燃費と比べると、約10%ほど低いことになる。リーフと同様に米国市場で販売中のEVでは、三菱自動車の「Mitsubishi i(日本名:i-MiEV)」が112MPGe(リッター約47.6キロ)、Ford Motorの「Focus Electric」が105MPGe(リッター約44.6キロ)となっている。2012年夏からホンダが米国市場でのリース販売を予定している「フィットEV」は、118MPGe(リッター約50.2キロ)にも達する。

 換算燃費と併せて発表されたモデルSの100マイル当たりの電池消費容量(複合モード)は38キロワット時だった。他のEVの100マイル当たりの電池消費容量は、リーフが34キロワット時、Mitsubishi iが30キロワット時、Focus Electricが32キロワット時、フィットEVが29キロワット時。モデルSは、これらよりも電池消費率が高いことが分かる。

米国で販売される電気自動車
モデル 換算燃費(複合モード) 100マイル当たりの電池消費容量(複合モード)
モデルS リッター約37.8キロ 38キロワット時
リーフ リッター約42.1キロ 34キロワット時
Mitsubishi i(日本名:i-MiEV) リッター約47.6キロ 30キロワット時
Focus Electric リッター約44.6キロ 32キロワット時
フィットEV(2012年夏リース販売予定) リッター約50.2キロ 29キロワット時

 ただしモデルSは、EPAの基準で「Large」に属する7人乗り(大人5人+子ども2人)の大型車である。「Mid-Size」に属する5人乗りのリーフや、それよりも小型の他のEVと比べて大型であることを考慮して、換算燃費や電池消費率の値を検討すべきだろう。さらに、換算燃費の計測に使用したモデルSは、電池容量がリーフの約3.5倍となる85キロワット時のモデルである。テスラモーターズによれば、電池容量85キロワット時のモデルは、時速55マイル(約86キロ)の定常走行であれば、満充電状態から300マイル(約480キロ)走行できるという。

大迫力の17インチディスプレイ

テスラ モデルSの運転席周辺。ダッシュボード中央に、17インチのタッチパネルディスプレイが縦置きで設置されている。ステアリングの奥には、フルグラフィックスメーターの存在も確認できる(画像をクリックすると拡大します)

 換算燃費のほかにも、モデルSの情報がいくつか公開されている。なかでも、テスラモーターズ取締役のSteve Jurvetson氏が写真共有サイトのFlickrで公開している、ダッシュボード中央に設置した17インチサイズのタッチパネルディスプレイを含めた運転席周辺の写真は圧巻だ。

 この17インチディスプレイは縦方向に設置されており、上下に分割して情報を表示できる。メインプロセッサは、NVIDIAの「Tegra2」を採用した。3Gの携帯電話通信を使ったインターネット接続も可能だ。

 ステアリングの奥には、メーター表示をすべてディスプレイで行う、フルグラフィックスメーターの存在も確認できる。フルグラフィックスメーターのグラフィックス処理にもNVIDIAのプロセッサが使われているという。

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