JINS田中仁×カヤック柳澤大輔、2人がこだわるメガネの世界

メガネ市場において急速な勢いで存在感を高めてきたアイウエアショップ「JINS」を率いる田中仁氏。社員の90%がWebクリエーターで営業は1人もいないというWebに特化した面白法人カヤックを創った柳澤大輔氏。2人の日本を代表するアントレプレナーがメガネをテーマに大いに語った。

» 2011年11月14日 10時00分 公開
[PR/Business Media 誠]
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JINS PC PC使用時に適したメガネ  「JINS PC」着用イメージ

 ここ数年の間で、メガネ市場において急速な勢いで存在感を高めてきたアイウエアショップ「JINS」。安価かつシンプルな価格構成もさることながら、優れた商品デザインやユニークなコラボレーション企画を次々と打ち出すことで、今やメガネ市場全体を牽引するブランドにまで成長した。最近では、LEDモニターによる目の疲れを軽減する「JINS PC」や、自転車用の「JINS Cycle」など、機能性にこだわった商品も多くラインアップする。

 そのJINSを運営するジェイアイエヌを率いるのが、田中仁代表取締役社長だ。「われわれがメガネ業界のスタンダードだ」と強気の姿勢でぐいぐいとJINSのビジネスを牽引する田中氏。今回、カヤックの代表取締役を務める柳澤大輔氏とのユニークな組み合わせによる対談が行われた。

 ちなみにカヤックは、「ART-Meter」や「HOUSECO」、「こえ部」といった先進的なWebサービスの企画・開発から企業のWebプロモーション企画、さらには「DONBURI CAFE DINING bowls」などの実店舗運営までも手掛ける、新世代ビジネスの開拓者として高い注目を集めている企業だ。

 そんなカヤックを率いる柳澤氏、実は熱烈なメガネ愛好家でもあり、メガネに関しては並々ならぬ思い入れがあるという。ちなみに同氏は先日、「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー 2011 ジャパン」の候補者の1人に選ばれたばかりだが、実は同賞の昨年度の日本代表に選ばれたのが、田中氏なのである。まさに日本を代表する起業家2人がメガネをテーマに語り合ったこの対談、思わぬ話が次々と飛び出す展開となった。

日本を代表するアントレプレナー2人がこだわるメガネの世界

JINS 田中仁(たなかひとし)/1963年、群馬県生まれ。高校卒業後、1981年から前橋信用金庫(現・しののめ信用金庫)に勤務。1986年に転職し、1988年にジェイアイエヌを設立。2001年に「JINS」チェーンを興してメガネ業界へ参入し、2006年、ヘラクレス(現JASDAQ S)市場に上場。

田中氏 カヤックさんは、新しい試みを次々と行っておられますね。ただ、ちょっと一見しただけでは、何をやっているのか分かりづらいところもあるかと思うんですが……Webに特化してやられているんですよね?

柳澤氏 そうです。社員の職種もWebクリエーターが90%を占めていて、営業マンは1人もいません。事業内容も、Webクリエーターという職種がまずありきで、その上で後は何をやってもいいというスタイルなので、とても面白いことができる半面、外から見ると何をやっているのか分かりづらい面はあるでしょうね。

田中氏 でも、なかなか新しいことをやられていますよね。柳澤さんの著書も読ませていただきましたよ。

柳澤氏 ありがとうございます。僕も実は、JINSさんのキャンペーンには注目しているんです。とても面白いことをやられていますよね。ちなみにカヤックでもかつて、メガネに関するサービスに取り組んだことがあったんです。ユーザー同士で要らなくなっためがねをネット上で交換し合うという「めがね交換サービス」、通称MTP(メガネ トランスファー プロトコル)というサービスを立ち上げたのですが、残念ながらまったくはやらないまま終わってしまいました(笑)。当時は面白いと思ったんですけど、ちょっと突っ走りすぎたのかもしれません。

田中氏 面白いですね(笑)。そういう意味だと、JINSはそこまで突っ走ってはいませんね。それよりも、現在縮小しつつある日本のメガネ市場を、お客さまに新しい付加価値を提供することで活性化したいというビジョンを持っているんです。現在は4000億円の市場規模を、1兆円まで持っていきたいと考えています。もうそれこそ、日本国民全員をメガネにしてしまおうと(笑)。

柳澤氏 そうしたビジョンを持つに至った背景には、ユニクロの柳井正さんの影響があったとどこかで読んだ覚えがあるのですが。

田中氏 そうなんです。会社の上場後、ビジネスの方向性で悩んでいた時期があったんですけど、ちょうどそのころ柳井さんとお話しする機会があって、「あなたの志は何ですか?」と言われたんですね。それでハッとした。上場までの過程は結局、縁と運が大きな割合を占めます。でも大抵の企業は上場するとそれで満足してしまって、それ以降ダメになるケースが多いんですよね。やっぱり、上場後もさらに企業を成長させていくためには、しっかり志を持ってやらなければいけないということに、そのとき気付かされましたね。

メガネを洋服と同じようなファッションアイテムに

JINS 柳澤大輔(やなさわだいすけ)/1974年、香港生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、ソニー・ミュージックエンタテインメントを経て、1998年、学生時代の友人とともに面白法人カヤック(合資会社カヤック)を設立。代表取締役に就任。2001年には同社のWeb制作部門を子会社化し株式会社CUPPYを設立し、代表取締役を務める。2005年に合資会社カヤックの事業を引継ぎ、株式会社カヤックを設立する。

田中氏 先日、ある会合でメガネについて話していたんですが、その場にいた女性全員が「男性はメガネを掛けていた方が素敵だ」と言うんですね。いわく、男性はスーツで魅力が3割アップ、メガネでさらに3割アップとのことです。これは意外でしたね。男性にとってメガネは、実はモテるためのアイテムなのかもしれません。

柳澤氏 そうですね。でも一方で、女性向けファッションとしてのメガネ市場を開拓するには、まだ高いハードルがあるように思います。常々思うんですけど、普段メガネを掛けていない女性にとっては、いざファッションアイテムとしてのメガネを選ぼうと思っても、何をどう選べばいいか分からないのが現状だと思うんですよね。

田中氏 確かにその辺りを打開しないと、メガネを洋服と同じようなファッションアイテムの地位にまでは持っていけないでしょうね。「そのメガネ、今年、流行しているものだよね」という感じになれば、きっと女性も毎年メガネを買い替えるようになると思うんですけど。そのためには、メガネにもトレンドがあるということをお客さまに知っていただくためのマーケティング活動が重要だと思っています。

柳澤氏 啓蒙活動も含めて、新たなマーケットを作り上げていくための活動になりますから、一筋縄ではいきませんね。でも一方では、もともとメガネが好きな人たちは、それこそ並々ならぬメガネへのこだわりを持っていますよね。

田中氏 でもそういう人たちって、ごく一部なんです。JINSも昔はそういう一部の愛好家向けの商品作りをしていたんですが、その路線だとオンリーワンにはなれても、ナンバーワンにはなれないんです。やっぱりメガネ業界全体を変えて、人々のライフスタイルに影響を与えられるようになるには、ナンバーワンを目指さなくてはいけないと思って今はやっています。

柳澤氏 なるほど、とても共感できます。メガネは本来、肉体の劣っている部分を補うためのものなのに、その「劣っている」というネガティブなイメージをプラスのイメージに持っていける稀有なツールですよね。だから、ここでJINSさんが突破口を開いていただければ、ひょっとしたら近視以外のものもポジティブなイメージで見られるようになってくるかもしれません。ちなみにメガネ店の方は、お客さんに本当に合うメガネってすぐ分かるものなんですか? 「メガネが似合う人」というのが具体的にどういう人のことを指すのか、僕自身はまだちょっとつかみきれてないんです。

田中氏 実際には、選ぶ人の主観にかなり依存すると思います。でも、かつてクールビズが導入されたときに、オフィスでどんな服を着たらいいか分からない年配の方々に、デパートなどがコーディネートをアドバイスするような取り組みを大々的にやって好評を博しましたよね。それと同じようなことが、メガネでもできるかもしれません。コンシェルジェみたいなものですね。あるいはベストジーニストみたいに、メガネが似合う人をJINS独自に表彰するアワードを設けるのも面白いかもしれない。

柳澤氏 カヤックでは毎年社内で、メガネが似合う社員を表彰するアワードを実施しています。ちなみに僕は万年2位なんですが(笑)。新卒で入社してくる社員も、皆とんがったメガネを掛けてるんですよね。レンズ部にスリットが入ったものとか。「あれで前がちゃんと見えるんだろうか?」と思っちゃうんですけど、ちゃんと見えるらしいですね。

田中氏 面白いですね(笑)。

柳澤氏 あと、カヤックのWebサイトには社員紹介のページがあるんですが、そこで「メガネボタン」を押すと、メガネを掛けた社員だけが表示されるようになっています。だから何だというわけではないんですけどね(笑)。

プロモーションネタとしてメガネは格好の材料

JINS PC JINS PC

柳澤氏 ジェイアイエヌさんの社員の方々は、やっぱり皆さんメガネをかけてらっしゃるんですか?

田中氏 実はそうでもないんです(笑)。女性社員にはコンタクトをしている者も多いです。メガネ会社の社員だからといって、強制的にメガネを掛けさせるわけにもいきませんからね。でも、そういう状況を見るにつけ、やっぱり裸眼やコンタクトの人にメガネを掛けてもらうためには、単なる視力補正用具という位置付けだと限界があると感じています。それ以外に何か、「掛けてみたい!」と思わせるものがないといけません。そうした考えから、現在ではスポーツサングラスや、PC作業用の「JINS PC」といった、今までにない商品で新しいマーケットを開拓しようとしているんです。

柳澤氏 スポーツ用メガネは今までもありましたけど、PC用というのは今までにないジャンルですね。

田中氏 今、PCやスマートフォンなどの画面は、すべて液晶ディスプレイですよね。そのほとんどのものが、バックライトにLEDを採用しているんですが、このLEDが「ブルーライト」という、青の成分の光を多く発します。このブルーライトが人間の目にとってはよくないかもしれないということが分かってきて、目の疲れやちらつきの原因になるそうです。そこでJINS PCは、このブルーライトを極力カットしつつ、同時に色のコントラストを高くしてPC画面の見え方が不自然にならないよう工夫されているんです。これは今のところ、他社には真似できない技術ではないでしょうか。

柳澤氏 レンズの度は、どれぐらいまで入れられるんですか?

田中氏 現状ではまだ残念ながら、度付きには対応できていません。ただし、今まさに開発をしているところでして、恐らく2012年の夏までには出せると思います。

JINS

柳澤氏 この商品はやはり、画期的だと思いますね。ただ、デザインが少し無難すぎるような気もします。PCを使うときだけ掛けるものだと位置付ければ、あまりファッション性は求められませんから、掛けた瞬間に仕事モードに切り替えられるようなデザインの方が面白いと思います。

田中氏 なるほど。われわれとしては、まずは誰にとっても似合う形にしようと思って、比較的オーソドックスなデザインにしたんですね。ちなみに、何か面白いデザインのアイデアはあります?

柳澤氏 例えば、もっと機能性を重視した一枚型のサイバーチックなものでもいいかもしれません。あるいは、職種ごとに異なるデザインのものを用意するというのもアリかもしれません。「PCを使う人」と一口に言っても、デザイナーとプログラマーではニーズが違うでしょうからね。

田中氏 なるほど、「OL用」なんていうのもあってもいいかもしれませんね。これは面白いかもしれない。さすがアイデアマンですね!

柳澤氏 メガネに関しては、本当に話が尽きないんです。カヤック社内でも、「メガネを使って面白いことをやりたいね!」という話は定期的に出ていて、例えばあだ名が「メガネ」の人間だけを集めたSNSを作ってみようとか、集合写真を撮ると写っている者全員の顔に勝手にメガネが掛かるアプリとか。何か企画について話し合っていると、必ず一度はメガネネタが出てきますね。

田中氏 実に面白そうですね! うちはメガネを扱っている会社なのに、まだそういうサービスは提供できていないんです。もし面白い企画があれば、ぜひ提案してください。

柳澤氏 メガネはネタとして本当に面白いんですけど、一方ではメガネを掛けたことがない人も大勢いるわけで。そういう人たちに対しては、Web上のバーチャルの世界でもいいからまずは一度掛けてもらって、「あ、メガネを掛けた私もいいかも!」と思ってもらえるような仕掛けが有効でしょうね。まずはとにかく、メガネを体験してもらうことだと思います。

JINS

 対談時間は30分程度だったが、メガネの話は尽きる様子がなかった。例えば、「メガネ顔とは何か」といった興味深い議論もあったのだが、誌面の都合で残念ながら省略せざるを得なかった。2人のアントレプレナーからは、次々とメガネに関する新しいビジョンのかけらが生まれていく。次回、JINS PCを装着したカヤック社員によるインプレッションをお届けする。

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提供:株式会社ジェイアイエヌ
アイティメディア営業企画/制作:誠 Style 編集部/掲載内容有効期限:2011年12月31日