このように、5万円台やそれ以下の価格帯のシリーズも登場した、2010年モデルのスポーツバイク。従来に比べるとずいぶん手頃な価格帯とはいえ、それでも安い買い物ではない。
「スポーツバイクに乗って通勤したい方には、本当をいうとちょっと背伸びしてほしいと思っています」と話すのは、これらのバイク達を紹介していただいたサイクリングサロン・ヒロシゲの弘重店長(参照記事)。「なぜかというと、『こんなかっこいいバイクに、乗らないわけにはいかない』『無理して買ったのだから止められない!』というように、手に入れたバイクそのものが自転車通勤を続けるモチベーションとなることがあるからです。長く乗り続けて自分と自転車との相性が分かってくれば、例えば小さなパーツを交換するだけで、格段に操作性が上がるといった喜びも味わえる……そんな経験も、自転車通勤を続けることで実現するんです」
なるほど。睡魔や疲れのせいにして通勤ライドをさぼれないメリットも、“背伸びバイク”にはあるようだ。
スポーツバイクが5万円前後で買えると聞いて、電車通勤している読者の方の中には「ちょうど通勤定期代くらいだな」と思われた方もいるだろう。
ここでは試しに、6カ月の通勤定期券代でスポーツバイクを買えるかどうかをシミュレーションしてみる。各都市とも電車通勤なら30分程度の距離だ。
合計6万430円(連絡定期券で5万7460円)
合計11万520円(連絡定期10万1520円)
合計11万5350円(連絡定期設定なし)
合計13万1790円(連絡定期9万1180円)
上記の例はどの地域も、電車通勤なら所要時間は30分程度。自転車なら1時間から1時間半程度で通える距離で計算している。この程度なら、初心者も比較的取り組みやすい距離と言える。
すべての距離を走れなかったら、途中で駐輪場に自転車を停め、公共交通に乗り換えれば、財布もさほど痛まない。悪天候や、寝坊、体調不良時などは無理をせず、回数券などを利用するとして、定期代で自転車購入を検討してみるのもいいのではないだろうか。
もし、月々の小遣いから「自転車貯金」をしてみようかな……という気持ちになったなら、試しに缶コーヒー貯金を始めてみてはどうだろう。
1本120円の出費の代わりにマイボトルを持ち歩き、会社に煎茶や紅茶のティーバッグを置いておく。1日2回、1カ月40回で4800円。ティーバッグは30パック入りでも数百円だから、10カ月でライトウェイ シェファードが買えてしまう計算だ。おまけに缶コーヒーがミルクや砂糖入りだったら、その間にカットしたカロリーはおよそ1万1600カロリー、約1.6キロの脂肪消費量に値する! 自転車に乗る前にちょっと体も軽くなり、ますます自転車を楽しむ準備が整うという“嬉しい誤算”も味わえる。(缶コーヒーのカロリーは、砂糖5g=19kcal、コーヒーフレッシュ5ml=10kcalとして計算。脂肪は1キロ7200kcalで換算)
定期代プラス、缶コーヒー代節約の合わせ技や、途中の乗換駅までを自転車通勤とし、途中からは電車利用など、目標の自転車に合わせたオリジナルプランをあれこれ考えるのもなかなか楽しそうだ。
電車では遠回りしていた町が自転車ならすぐ隣だと知ったり、地下鉄移動では気付かなかった季節の変化に気付いたり、ママチャリでは登れなかった登り坂が登りきれたりしたとき、坂道の頂上から見上げた空は、きっと新しい自転車人生へとつながっているはずだ。
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