第17鉄 新幹線よりスローでリッチ!? 近鉄アーバンライナー杉山淳一の +R Style(1/4 ページ)

» 2009年11月07日 10時13分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

 東海道新幹線といえば誰もが認める日本の大動脈。その新幹線の名古屋−大阪間で“真っ向勝負”を挑む列車がある。近鉄特急「アーバンライナー」だ。

 運賃と特急料金を合わせて4200円。所要時間は最速列車で約2時間である。新幹線「のぞみ」より所要時間は2倍以上かかるが、きっぷ代は約2000円安い。さらに付け加えるならば、近鉄は名古屋−大阪間の回数券「近鉄名阪まる得きっぷ」を出している。アーバンライナーも使える回数券で、これだとさらに新幹線より安くなる。しかも新幹線回数券と同様、金券ショップに行けばバラ売りも買えるとのこと。1枚あたり3200円以下、「のぞみ」の約半額である。

近鉄特急アーバンライナー
今回のルート(GoogleMapsで、筆者による地図のコメントと説明を読むことができます)

たった410円でハイグレードな座席に乗れる!

 近鉄名古屋駅はJR名古屋駅の地下にある。折り返しの線路が5本もある大きなターミナルで、各駅停車、急行、特急が頻繁に発着する。近鉄の特急といえばオレンジ色に紺色の帯。私が子どもの頃の絵本には、丸い顔の近鉄ビスタカーが描いてあって、中間の2階建て車両に驚き、憧れたものだった。そのころから近鉄特急のイメージカラーは変わらない。いまでもここから伊勢方面へは、オレンジ色でゲンコツのような顔の特急が走っている。

近鉄名古屋駅で特急を撮る。こちらは伝統的な“近鉄特急カラー”

 しかし、5番線に現れた難波行特急は違う。とがった流線型に白いボディ。細いオレンジの帯がかすかに伝統を残しているけれど、かなり洗練された姿である。近鉄版新幹線と言っていいかもしれない。この電車は21000系といって、1988年に誕生した。近鉄は名阪特急を「アーバンライナー」と名付け、観光列車とは違う、ビジネス特急としての新ブランドを作った。都市間輸送というキーワードや白くて尖った外観から、ドイツ国鉄初のインターシティ用特急電車、403型を連想する。そう、どことなく異国情緒を感じるデザインだ。

近鉄の名阪特急「アーバンライナー」
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