1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
フランスの政治週刊紙『シャルリーエブド』が襲撃され、12名の尊い命が奪われた事件を受け、同国を中心に「私はシャルリー」という合い言葉が広まっている。
史上最大370万人によるデモ行進が行われ、テロの戦いでの連携を確認した数十カ国の首脳も参加。「私はシャルリー」のバッジやTシャツといったノベルティグッズも飛ぶように売れ、便乗商売まで現れているんだとか。
どんな大義名分があれ、罪のない一般市民へ向けられた暴力は正当化されない。「表現の自由」を守る。当然といえば当然なのだが、この「私はシャルリー」という一連のムーブメントにはどうにも共感ができない。いや、もっとぶっちゃけてしまうと、うさん臭いとさえ思っている。
まず、気に食わないのがスローガンだ。「表現の自由を守ろう」ではなく、「お前はどっち側につく?」という二者択一を迫るような言葉がゆえ、はからずも「えっ! シャルリー支持しないの? お前、ヤバくね」なんて感じで“踏み絵”になってしまっているのだ。
かつて日本でも「天皇陛下、万歳」というスローガンが、戦意高揚や愛国心をはかることに利用されたことからも分かるように、民衆を戦争へと導く者は“踏み絵”を使う。分かりやすいのが、9・11直後のブッシュ大統領だ。
「(世界の)どの地域のどの国もいまなすべき決断がある。我々の味方をするか、それともテロリストの側につくかだ」
ちなみに、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」がYouTubeで流している「確固たる歩みを進めている真のイスラム教徒たちの味方をするか、それともオバマやフランソワ・オランド、ジョージ・ブッシュの側につくかだ」というスピーチは、このブッシュの“お前はどっちにつく理論”をパロったものだ。
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