固定電話が人々のコミュニケーションメディアの王座から降りると、そんな了解事項は「死語」になった。そして携帯電話が出てきて、ネットが普及して、SNSが出てきてと、まるでビッグバンのような猛烈なスピードで、コミュニケーション・メディアが増加した。その1つ1つに、小さなグループごとの「了解事項」が生まれ、それがないグループと摩擦や対立が起きる。インターネットによって、了解事項は解体し「大きな少数のグループ」から「小さな無数のグループ」に分裂していく。こうした現象は「社会のバルカン(半島)化」と呼ばれている。
人間の思考や、あるいは合意や了解の形成よりはるかに早いスピードで、テクノロジーは進歩する。新しいサービスや機器が登場する。この「進化のスピードの速さ」ゆえに、インターネットは理解よりは誤解を、平穏よりは混乱を生むのではないか。これが「インターネット・ディストピア」のもうひとつの姿である。
SNSが普及した結果……さまざまな弊害も生まれている(写真はイメージです)
- 朝日やNHKが選ばれない時代に、私たちが注意しなければいけないこと
インターネットが勃興し、新聞やテレビといった旧型マスメディアが衰退しつつあると言われている。結果、何が変わったのか。筆者の烏賀陽氏は「ニュース・センターが消滅した」という。その意味は……。
- なぜマスコミは“事実”を報じなかったのか
原発事故は「戦後最大のクライシス」と言っていいだろう。しかし新聞を読んだり、テレビを見て、「よく分からなかった」という人も多いのでは。原発報道のどこに問題があったのか、ジャーナリストの烏賀陽弘道氏と作家の相場英雄氏が語り合った。
- NHKが、火災ホテルを「ラブホテル」と報じない理由
言葉を生業にしているマスコミだが、会社によってビミョーに違いがあることをご存じだろうか。その「裏」には、「華道」や「茶道」と同じく「報道」ならではの作法があるという。
- なぜマスコミはインチキをしても「ごめんなさい」と言わないのか
普通の企業ならば謝罪会見モノの不祥事が発覚しても、しれっとした顔でやり過ごしている業界がある。言わずと知れた、マスコミだ。なぜ彼らは意地でも頭を下げないのか。そこには一般人にははかりしれぬ“美学”があったのだ。
- 何が問題なのか? メディアにころがる常識
メディアが構造的な問題に苦しんでいる――。購読部数の減少、広告収入の低下などさまざまな課題が押し寄せているが、解決の糸口が見えてこない。こうした問題について、ジャーナリストの津田大介氏と社会学者の鈴木謙介氏が語り合った。
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