出版社勤務後、世界のカルチャーから政治、エンタメまで幅広く取材、夕刊紙を中心に週刊誌「週刊現代」「週刊ポスト」「アサヒ芸能」などで活躍するライター。翻訳・編集にも携わる。世界を旅して現地人との親睦を深めた経験から、世界的なニュースで生の声を直接拾いながら読者に伝えることを信条としている。
アフリカで過去何度も流行をもたらしたエボラ出血熱が、アフリカのギニアで再び確認されたのは2013年12月のことだ。その後、感染は周辺国に広がり、WHO(世界保健機関)が2014年9月18日に発表したところでは、西アフリカの国々(ギニア、リベリア、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ)で感染者数は5335人にのぼり、死者数は2622人に達したという(エボラの可能性があるというケースも含む)。
現在のところ、エボラ出血熱には確たる治療法がない。エボラという名前は、1976年に初めて病気が大流行が発生したコンゴ民主主義共和国(当時はザイール)にある「エボラ川」に由来している。
一度感染すれば90%以上が死に至ると言われており、“世界で最も致命的な病気”と恐れられてきた。空気感染はしないが、患者や死者の血液や体液などに触れることで感染すると考えられており、その感染力は非常に強い。WHOは、早ければ年内にも2種類のワクチンが利用可能になると発表しており、一刻も早い開発が待たれる。
「遠いアフリカで感染症が起きている」くらいに考えられている日本では、エボラ関連の報道は下火になっている。特に8月末以降、デング熱の報道に続いたために、もはや過去の話になってしまった感じすらある。だが、世界的には今もエボラ関連のニュースを見ない日はない。
最近では、欧米で感染から生還した欧米人医師などの闘病の様子が話題になったり、感染状況や対策が広く報じられているが、さらにエボラ流行に伴う“二次被害”のニュースも出始めている。どうやら、西アフリカで行われているエボラ対策に現地住民が反発しているという。
エボラが流行してから「国境なき医師団」など、世界中の医療支援組織が現地に入り、治療や啓発活動を行おうとしてきた。しかしその一方で、地元民の中には、彼らこそがエボラを持ち込んだ犯人だと思い込んでいる人たちも少なくないという。
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