永井: それだけでは、不十分でした。欧米や日本では大きな袋に商品が入っていて、いわゆる“まとめ買い”が当たり前になっていますが、インドネシアの人たちはそうした購買行動をしません。生活用品は「ワルン」という日本で言えば駄菓子屋のような小さな店で買う。そのような店では、オムツを1品ずつ個別包装して店頭にズラリと並べる必要があります。こうした商品を見ると、紙オムツを買ったことがないお母さんたちでも「ちょっと試してみようかなあ」という気持ちになりますよね。
土肥: でも、個別包装って、売る側からすると手間がかかりますよね。
永井: ユニ・チャームの本社も最初は「個別包装なんて聞いたことがない……」と反対していました。しかし、担当者は粘り強く交渉して、これを実現しました。一方で家族経営の「ワルン」では陳列まで手が回らないという問題が出てきました。そこで同社は、2013年3月に小売店をコンテスト会場にして「ディスプレーコンテスト」を企画しました。どんなことをしたのかというと、卸業者と組んで店舗に入って、溢れ返った商品を整理して、種類ごとに並べたんですよ。
お店側にしてみれば、煩雑に並んでいた商品をキレイに整えてくれるのですからうれしいですよね。こうした地道な作業の効果もあって、陳列シェア100%の店が多数出てきました。
結果、インドネシア人の紙オムツ使用率は、30%から50%に。同社のシェアは65%になりました。この数字が意味することは、インドネシアの育児習慣が変わって、お母さんたちのオムツ交換も快適になったことです。
土肥: 努力の積み重ねがあったわけですね。
永井: そうですね。「フレームワーク」でビジネスに取り組んでいますよね。自分たちの強みを見極めて、お客さんの課題を考え抜き、その強みを生かしてどのように課題を解決すればいいのかを考え抜いています。
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