その後、少年がホラー映画や暴力的なゲームを楽しんでいたことが明らかになり、少年が凶行に及んだ背景に残虐描写やゲームが影響したのではないかという報道がちょこちょこなされることになった。
もちろん、私のいた週刊誌でも「映画やゲームが悪影響」というような記事を出したのが、友人が指摘した「人気マンガ」については一切触れなかった。この人気マンガを愛する方たちから、「マンガと少年犯罪を結びつけるな!」というクレームが入るし、なによりも出版社が「マンガ」のマイナス面を指摘できるわけがない。
つまり、何が言いたいのかというと、なにかの事件が起きた時、世に流れてくる情報の多くは供給者側の“事情”が関係しているということだ。
そう考えると、今回の「少女アニメのポスター」の意味もよく分かる。
少女が無事に救出されたことや、「49歳自称イラストレーター」のキャラばかりに注目が集まっているが、その陰で岡山県警の「ミス」についてはあまりスポットが当たっていない。
少女の母親が、声をかけてくる不審者がいるとクルマのナンバーまで告げて相談をしていたにも関わらず、なにも対策をとっていなかった。無事だったから良かったようなものの、その「相談」はどう処理されていたのかという問題がある。
さらに、犯人を特定してからの「張り込み」も近所にバレバレだった。なぜバレてはいけないかというと、もし捜査の手が伸びていることに悲観し、犯人が「証拠隠滅」に走る恐れがあるからだ。
こういう失態から目を逸らすには、これよりも大きな“ネタ”をもってくるのがいい。企業が不祥事を公表するのに、政治やスポーツのビッグニュースがある日を狙うのと同じだ。それが「少女アニメのポスター」だったというわけだ。
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