新人: 部長ーっ、ウチの主力商品「缶コーヒー」は、自販機のどこに置きましょうか?
部長: バカモーン! 自販機の前に立ったお客さんは、まずどこを見るのか? お前知らないのか?
新人: す、すいません。
部長: 「左上」だよ。最初に「左上」を見てから、アルファベットの「Z」の形を描くようにして、右下まで視線を動かすんだ。
新人: そうだったのですね。勉強になります!
自販機業界で上記のような会話が飛び交っていたかどうかは分からないが、業界内では30年以上も信じられていた“常識”がある。それは自販機の一等地は「左上」であること。しかし、人間の視線を追いかける「アイトラッキング(眼球追跡)」の技術を使ったところ、いとも簡単に常識が覆されてしまったのだ。
アイトラッキングに目をつけたのは、清涼飲料水メーカーの「ダイドードリンコ」(以下、ダイドー)。スウェーデンのトビー・テクノロジー社が開発した眼球型の装置を使って分析したところ、自販機の一等地は「左上」ではなく、違う場所であることが分かった。その結果には誰もが驚いたが、同社はこれまでの常識を捨て、2013年に主力商品の缶コーヒーを“視線を集めるエリア”に置いたところ、売り上げがアップしたという。
人は自販機の前に立ったときに、一体どこを見ているのか。またアイトラッキングの結果を受け、ダイドーはどんなマーケティングを展開したのか。広報・IR部の正本肇さんに話を聞いた。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。
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