山口百恵「赤いシリーズ」のDVDが売れている――なぜ? 講談社の人に聞く仕事をしたら“パートワーク”が売れた(1/5 ページ)

» 2014年03月19日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 ひとつのテーマに沿って毎週、隔週、毎月といった単位で刊行される出版物「パートワーク」(「分冊百科」とも言う)市場に、ちょっとした“異変”が起きている。「パートワーク? なにそれ? 聞いたことがない」という人もいるだろうが、デアゴスティーニのテレビCMは見たことあるでしょう? と聞くと「あー、それね。クラシック音楽のCDが付いていたり、城などを組み立てるヤツね」といった感じで、思い出す人も多いだろう。

 パートワークの魅力は、なんといっても「そろえる喜び」にある。創刊号が半額くらいで販売されているので、ついつい買ってしまう。そして専用のバインダーにファイリングしていく作業が楽しくなって止められない、という人もいる。また、組み立てタイプの中には、最後まで買い続けないと「完成」しないモノもあるので、ハマってしまうと、途中で止めることがなかなかできないのだ。

 そんなパートワーク市場を支えているのは、団塊世代の男性だ。全巻をそろえると10万円を超えるモノも少なくないので、お金に余裕のある人が多い。また、趣味を楽しむ時間的な余裕のある人も多い。テーマによっては、男女比9対1の割合で売れるほどの男性市場だが、講談社が2月に販売した『山口百恵「赤いシリーズ」DVD』は、男女比が逆転しているという。

 山口百恵さんは、1980年の結婚をきっかけに、芸能界を引退。人気絶頂のときに、いさぎよく引退したので、いまなお「復帰」を望むファンも多い。そんな彼女が出演したテレビドラマのDVDマガジンが、いま売れている。ドラマが放送されてから30年以上が経っているのに、「書店によってはすぐに完売しました。創刊号は13万部ですが、2号は重版になりました」(講談社)という。

 男性中心のパートワーク市場で、なぜ女性たちが「赤いシリーズ」のDVDマガジンを購入しているのか。山口百恵さんのファンは女性が多いということも考えられるが、要因はそれだけではないようだ。また、パートワークの出版物を販売するにあたって、どのようなマーケティングを行っているのだろうか。講談社・第四編集局長の奈良原敦子さんにうかがった。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。

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