「未経験者歓迎」という求人広告の裏に秘められた企業の思惑とは?サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(1/3 ページ)

» 2014年02月03日 08時16分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

連載「就活・転職のフシギ発見!」とは?

 就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。

 使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。

著者プロフィール:サカタカツミ

 クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』『就職のオキテ』がある。

 個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントにつらいです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata


 求人情報サイトなどを眺めていると「未経験者歓迎」や「他業界からの転職も優遇します」というフレーズが目に付きます。仕事によっては、習熟に時間がかからないものもありますから、経験のない人でも大丈夫だ、というケースもあるのですが、一方で「この仕事は技術や知識が必要だろう?」と首をかしげてしまう場合も。その求人広告の裏側に潜む、企業の思惑を少しだけ。

未経験者歓迎という企業は、人が採れなくて困っている?

 そもそも未経験者を優遇したり歓迎したりする職種や業種の多くは、人材業界では「採用困難企業」と呼ばれているケースがほとんどです。仕事の環境や待遇が厳しくて、人気がない、勤務しても続かない、そもそも腰掛けだと考えているなど、理由は様々ですが、要は「募集しても応募が少ない」し「人材の流動性が激しい」という仕事なのです。

 ですから、常時求人サイトに広告を出して、条件のハードルを大きく下げて(中にはまったく条件がないという仕事もあります)門戸を大きく開いて、とにかくまずは「御社で働きたいです」という意思を持っている人を、確保しようとするのです。しかし、中にはまったくそうではない仕事もあります。例えば、エンジニア領域での採用がその典型例といえるかもしれません。

知識や経験、能力が大事そうな領域でも、「未経験者歓迎」という求人広告は意外とある

 こう書いてしまうと「エンジニアなんて、技術が分からないと仕事にならないはず」と言われてしまいそうですが、採用を担当する人たちに話を聞いてみると、まったくそうでもないというケースが少なくない。彼らが言うには「確かに、技術を持っていたり、知識があったりということは大切ですが、採用するかどうかは、それだけではないので」と口を揃えるのです。

 技術が重要で、知識が必要であるはずの仕事なのに、未経験でも大丈夫なわけを詳しく探ってみると「会社で働く」ということの本質のようなものが、意外なところから見えてきました。そのキーワードは「教えられること」か「教えられないこと」か、なのです。ここまで読んで、ピンと来た方も多いと思います。そう、技術や知識は「教えられる」可能性があるのです。

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