父と娘が1つのテーマに沿ってガチで話し合う本企画、今回が最終回です。テーマは、娘のリクエストで「人間の生きる意味」について。話が盛り上がりすぎたので、2回に分けてお届けしています(前回を未読の方はこちら)。
「生きる意味」という重いテーマ。ですが、中学生とオッサンという立場を越えて、2人の人間として本音で話し合うことができ、終わった後はお互いが清々しい「言い尽くした感」を味わうことができました。
今回も、朝のガストで話し合いました。
父: こないだは、サオリが考える「人間の生きる意味」を話してくれたよね。
娘: うん、「自分が、未来の人のための役に立つよう、今をがんばることが私の生きる意味だ」って伝えたよ。
父: これ、お母さんにも教えたんだけどさ、うなってたよ。「普通、中学生の考えつく結論じゃない」ってさ。
娘: 早速だけど、今日はお父さんの意見を聞かせてよ。
父: (30秒ほど考え込んで)お父さんはさ、そもそも人間に生きる意味があるって思うことそのものが違うような気がするんだ。
娘: なんで?
父: もしかしたら、意味なんてないかもしれないって考えてみたことはある?
娘: ……ないなあ。っていうか、意味はあるでしょ。
父: 例えば、アリに生きる意味はある?
娘: アリ? いや、別に……。
父: 昆虫にはない? じゃあ、カエルやヘビは? 鳥や魚は? ライオンやサルはって考えていくと、どう?
娘: うーん、他の動物のエサになるとか? 自然を守るとか?
父: 生態系という大きな枠の中では、食われることが意味かもしれないね。でも、動物本人は、「エサになるのが自分の生きる意味だ」とは思ってないはず。むしろ、生き残るために必死だよね。
娘: じゃあ、どの生き物から生きる意味が発生するんだろ?
父: 人間様になったとたん、生きる意味が与えられて、他の生物には意味がないってのも、おかしな話じゃない?
娘: うーむ。
父: 人間にだけ、高尚な意味があるって考え方が、おこがましいような気がしてる。
娘: でも、人の命は大切だよ。動物とは違うよ。人権とか生命の尊厳とかいろいろあるんじゃ……。
父: それはそうなんだが。サオリやお父さんが死んだところで、家族は悲しむだろうが、世界は何の問題もなく回る。
娘: じゃあ、人間には生きる意味はないって言うの?
父: いや、そうでもないんだ。お父さんが言いたいのは、「意味は誰かから、自動的に与えられるものじゃない」ってことだ。もしも、サンタから「君の生きる意味をあげるよ」ってプレゼントされて、箱の中に自分の生きる意味が書かれた紙切れが入っていたとして……納得できる?
娘: たぶん、できない。
父: 「生涯独身のまま、仏の道を極めることが、サオリさんの生きる意味です」って書かれてたら?
娘: 「勝手に決めないで。私のやりたいことじゃない」って思う。
父: だろ? だから、意味は誰かから与えられるものじゃなくて……。
娘: 自分で見つけるもの?
父: だと思ってる。
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