13歳の娘がクラスメートから告白されたのをキッカケに、娘と父が割と本気で話し合うこの企画、第8回のテーマは「いじめ」です。
子を持つ親なら必ず気にする、わが子へのいじめ。ここ数年、深刻化するいじめ問題はとてもじゃないですが、他人ごとには思えません。わが子にはいじめとは無縁の楽しくて充実した学生時代を過ごしてほしいと強く願ってはいるものの、親ではコントロールしきれない要因が複雑に絡み合うのが悩ましいところです。
今回は、朝のマクドナルドで話し合いました。
父: ストレートに聞くけど、サオリ(仮名)はこれまでいじめを受けたことはある?
娘: ないよ(キッパリと)。
父: 一度も?
娘: うん、まったくない。もちろん、いじめたこともないよ。
父: 小中学校、ずーっといじめとは無縁?
娘: 中学校に入学してから、他の学年であるらしいと聞いたことはある。でも、私の身の周りでは起きてないよ。クラスはみんな仲が良いし。
父: それはすごいな。かなり幸せなことじゃないか。
娘: そうかな?
父: いじめって聞いても、実感が湧かないだろ?
娘: そうだね。ドラマとかマンガの世界では、暴力とか、からかい、盗みとかあるけど、実感はないね。
父: 学校全体で既に撲滅活動的な取り組みをしていて、それが機能しているのかもよ?
娘: 中学校では、“いじめ撲滅作戦”っていうのがあって、学年主任の先生が全校集会で「何かあったら、いつでも先生に相談しなさい。いじめを見たら、止めたり、先生に報告したりしなさい」って話してた。
父: 言葉での説明だけ? 具体的な活動は?
娘: 相談室ってのが用意されてて、そこに行くと専門の人がいて話を聞いてくれるらしい。行ったことないから、どんな場所かは知らないけど。
父: ふむ、カウンセラーがいるんだね。
娘: あと、同じ全校集会で生徒会の人たちが「いじめは悪いことです」って訴える劇をしてくれた。そのあとポスターが各クラスに配られて、掲示板に貼ったりとか。
父: まあ、ありそうな活動だね。
娘: あ、そうだ。アンケートもやったよ。「いじめを見たことはありますか」「いじめを受けたことはありますか」「いじめを相談したいと思ったことはありますか」みたいな質問が並んでて、全部「いいえ」「いいえ」って答えた。
父: いろいろやってるんだ。で、効果は出ているの?
娘: どうなんだろう? 正直、大して出てないような気がする。
父: サオリのクラスは、みんな仲がいいってことだけど本当に恵まれていると思うよ。
娘: そう? そんなもんじゃないの?
父: だって、いじめって大問題になってるでしょ? 全国で起きているし、自殺が社会問題になったり。現実問題として、頭では理解できるよね。
娘: まあね、知識として。
父: ちなみに、サオリのクラスってどんななの?
娘: とにかく明るくてにぎやか。授業中もワイワイしてるよ。
父: 悪い意味でのにぎやかじゃなくって? 騒がしくして、授業を妨害するようなことはしてない? 先生は肯定的に受け止めているのかな?
娘: 先生も笑ってたりするよ。あまりに脱線しすぎたら注意されるけど、とにかく、にぎやかに勉強してるの。
父: ふーん。他のクラスもそう?
娘: いや、それがすごくシーンとした雰囲気なの。
父: へえ。でも、授業ってそもそも、静かなもんじゃない?
娘: だけど、クラス別のテスト平均点は、私のクラスがダントツでトップなんだよ。
父: ただにぎやかなだけじゃなく、結果も出している、と。
娘: そうだよ。他のクラスの先生にも、「何で、1年○組はそんなにいい雰囲気なんだろう」って褒められる。
父: クラスのムードメーカーがいるの? それとも、担任の先生がうまくリードしてくれているの?
娘: 先生はにこやかな人だけど、特に何かをしてるふうには見えないかな。クラスにめっちゃ明るい男子が3人いて、その3人がみんなを笑わせてくれるの。で、周りもつられて明るくなる……って感じ。
父: じゃあ、その3人がいなかったら今ほどには明るいクラスにはなってなかった?
娘: たぶん、なってないね。
父: その3人は、無意識のうちにクラスの雰囲気作りに貢献してくれているっぽいね。隠れたファインプレーかもしれないな。
娘: 今思えば、その男子たちのおかげだね。
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