夫を吸い尽くす「タガメ女」を駆除する米国の新しい恋愛のカタチ伊吹太歩の時事日想(1/2 ページ)

» 2013年12月05日 08時00分 公開
[伊吹太歩,Business Media 誠]

著者プロフィール:伊吹太歩

出版社勤務後、世界のカルチャーから政治、エンタメまで幅広く取材、夕刊紙を中心に週刊誌「週刊現代」「週刊ポスト」「アサヒ芸能」などで活躍するライター。翻訳・編集にも携わる。世界を旅して現地人との親睦を深めた経験から、世界的なニュースで生の声を直接拾いながら読者に伝えることを信条としている。


日本の社会を埋め尽くすカエル男の末路 『日本の社会を埋め尽くすカエル男の末路』

 最近、大阪大学大学院准教授の深尾葉子氏が上梓した『日本の社会を埋め尽くすカエル男の末路』(講談社α新書)という本が話題だという。Business Media 誠で同じ時事日想の火曜日を担当している窪田順生氏が取り上げていた(参照記事)のだが、2013年4月に深尾氏によって出版された『日本を喰い尽くすタガメ女の正体』(講談社α新書)が話題になったために続編として発売されたのだろう。

 こういう本が日本で話題になるのは、結婚というものに窮屈さを感じる日本人が増えているからではないだろうか。

 そもそも結婚のための「婚活」という言葉自体、奇妙である。要するに「就活」で職を得るのと同じく、結婚が目的の活動であってそこに「好き合う者同士の行き着く先」という感覚はない。すでに結婚というものが、そうした「活動」の一環となりつつあるのかもしれない。「結婚を前提に」というのも微妙なコンセプトで、婚活に通じるものがある。

 そして結婚したら「タガメ女」に変貌するのだから、独身男性の半数近くが結婚をしたがらないという調査結果も妙に納得してしまう。とにかく、日本に生息するそんな「タガメ女」だが、実はこれは日本だけの問題ではない。米国にも「タガメ女」はいる。「PARASITE WIFE」「PARASITIC HOUSEWIFE」などと検索すれば、「タガメ女」のストーリーがわんさか出てくる。

現代の米国では「タガメ女」は絶滅危惧種に

奥さまは魔女 『奥さまは魔女』/サマンサは魔女だったが、愛するダーリンのために専業主婦になった

 そんな米国でも、専業主婦が妻の理想とされる時代があった。今でもテレビやドラマには、1960〜70年代の理想の家族像が登場することがある。バリバリ働く夫に、郊外の家で子供を世話しながら家庭を守る専業主婦。50年ほど前の米国ではそんな家庭が理想型だったが、今では完全に過去のものとなった。

 もはや米国で「タガメ女」のような妻は生き延びられない。その背景には、女性の社会進出が日本よりもずっと進んでおり、共働きが当たり前だということがある。また、個人主義が強い米国では、夫とはいえ他人から「搾取」もしくは「虐待」を行う「タガメ女」のような妻はすぐに離婚されてしまう可能性があるからだ。

 結婚や男女関係など告白系の米SNS「エクスペリエンス・プロジェクト」をのぞくと、興味深い書き込みを見つけた。ある男性が「妻が嫌いだ。私を食べ尽くす寄生中だ」と相談していた。その投稿への反応が面白い。

 女性が「あなたの結婚にはまったく希望がない」と書くと、同じように自分の妻も「タガメ女」だという男性が「ジムに行け、またはサンドバッグを殴りに行ったほうがいい。もしくはカウンセリングに行くしかない」とコメントしたり、別の男性は、「1度の人生。即離婚だ」と書き、「1年前に『吸血鬼』とは離婚した」と反応した男性もいた。

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